こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

otello2009-09-14

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

ポイント ★★*
DATE 09/9/12
THEATER THYK
監督 ギャヴィン・フッド
ナンバー 218
出演 ヒュー・ジャックマン/ライアン・レイノルズ/リーヴ・シュレイバー/ドミニク・モナハン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


傷ついてもすぐに治癒する肉体を持つ一方、その男の心はもろく、いつまでも傷を引きずっている。やがて彼は、戦争の中でしか自らの存在価値を見いだせなくなる。そして人を殺すことに倦んだとき初めて人間らしい生き方を選ぶ。映画は、不滅の命と若さを授かったゆえに苦悩する主人公の姿を通じて、愛するものや守るべきもののために戦ってはじめて人生が意味を持つことを描く。苦痛や悲しみはリアルなのに、決して死ねない苦しみは、永遠に続く地獄なのだ。


19世紀から数々の戦場で戦ってきたビクターとローガンの兄弟は、ストライカー率いる超人的戦闘能力を持つミュータント部隊にスカウトされる。しかし、民間人も無差別に殺害を命じるストライカーにローガンは嫌気を感じて部隊から身を引き、ケイラという女性と暮らしはじめる。


アフリカ人のダイヤ密造所を襲う時に見せる、各人の超能力の数々が視覚的に素晴らしい。特にウェイドが見せる日本刀を使った殺陣は光と闇のスピードが見事に融合した芸術的な美しさだ。また、ローガンが操るバイク対軍用車・ヘリコプターの戦いもアイデアとスリルにあふれ、斬新なアクションが楽しめる。だが、クライマックスの原子炉での戦いは不死身のミュータント同士の激突で、派手な破壊ばかり目立ち、CGまみれの格闘は少し食傷する。


ビクターにケイラを惨殺されたローガンは、ストライカーの誘いに乗って地球外金属の注入を受けて戦闘マシーン・ウルヴァリンに変身する。そこでストライカーの裏切りを知って秘密基地から脱出するのだが、ローガンは150年以上も生きてきて人間の欲望について何も学んでこなかったのだろうか。自分の殺しの本能を満たすことばかり考え、権力者に利用されているとは思いつかないという頭の悪さ。どんな攻撃にも耐えるボディと最硬度の爪を持つウルヴァリンの戦闘能力はミュータント最強のはずなのに、本編の「X-メン」シリーズではわき役に甘んじているのは知性の低さのせいだろう。。。


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