こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜

otello2009-10-05

テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜


ポイント ★★
監督 亀井幹太
ナンバー 235
出演
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


命令に背いても己の正義を貫くべきか、帝国の大義を守るために命令に忠実な騎士でいるべきか。当然ながら理想に燃える若者は大人の世界の「政治力学」よりも、目の前に迫りくる危機に対処しようとする。そしてさまざまな危険を克服し、襲いくる敵を排除し、背後で糸を操る黒幕をあぶり出す。映画は2人の新人騎士が軍務の中で成長していく過程を通じて、真の軍人魂を身につけていく姿を追う。死と隣り合わせの冒険の陰では、後方支援から軍用犬の世話、本部との交渉といった事務方の仕事が軍事組織を支えていて、そこに求められるのは忠誠と自己犠牲なのだ。


辺境の都市を取り巻く森に、根源の力・エアルが異常発生する事態が発生、新人騎士ユーリとフレンはナイレン隊長の指揮の下、その原因と思われる遺跡の調査に向かう。


フレンの父は命令を無視して戦死、軍隊における規律の大切さが身にしみている。一方のユーリは現場主義で任務遂行のためには臨機応変に行動するタイプ。本来ならば堅物のフレンよりも型破りなユーリのほうが魅力的に描かれるものだが、先輩や上官にタメ口をきき、隊長に対しても敬意のかけらも見せないユーリは不快な存在でしかない。もちろん命がけで子供を助けたりフレンと力を合わせて裏切り者を倒すなどの活躍は見せるが、基本的にはトラブルメーカー。結局、組織にはなじまず騎士団を去ることになるが、どうせならユーリの能力が活きる、単独行動を取るスパイのような役割を振ったほうが良かったのではないだろうか。


帝国本部の増援が認められない中、ナイレンは少数の部下を連れて遺跡の侵入する。そこは魔物に支配された迷宮で、赤いエネルギーが石の塊となって騎士団に降りかかかる。なんとかエアルの元を断つことに成功するが、遺跡が崩壊する過程でナイレンが殉職する。しかし、最大の見せ場となるべきこれらのシーンはスペクタクルに乏しく、凡庸。アニメだからこそできる目を見張る表現を見せてほしかった。


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