こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

otello2010-07-05

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!


ポイント ★★*
監督 本広克行
出演 織田裕二/深津絵里/ユースケ・サンタマリア/伊藤淳史/内田有紀/小泉今日子/小栗旬
ナンバー 160
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


圧倒的な物量作戦と人海戦術、カネと手間を惜しみなく掛けた壮大な映像と次から次へと迫る危機、そして階級と命令系統が複雑に入り組んだ人間関係の中で繰り広げられる葛藤とジレンマ。2時間余りの上映時間に収まりきれないほどの雑多な要素を凝縮する反面、主人公の思いは独白で、感情は音楽で丁寧に解説し、普段バラエティ番組しか見ない観客層をもてなすかのようなかゆい所に手が届くサービス精神を見せる。ただ、あらゆる表現が過剰で、その押しつけがましさは織田祐二の熱演以上に暑苦しい。


湾岸署引っ越し作業中にセキュリティが破られ拳銃3丁が紛失、その拳銃で殺人事件が起きる。次の殺人を予告した犯人は有罪判決を受けた服役中の受刑者の解放を要求、その中にかつて逮捕した日向真奈美が含まれていた。


犯人グループがネットゲーム中毒のコンピューターオタクで仲間もネットで募ったり、ネットカフェがアジトだったりするなど、いかにも安易な設定だ。それだけでなく、特殊な訓練を受けているわけでもない若者たちが、引っ越し業者を装って警察のトップシークレットはずの警備情報を盗み出したりプログラムを書き換えたり、さらに爆弾の罠まで仕掛けるのだ。ハリウッド映画の安っぽいパクリで彩られた見せ場の連続はツッコミ所満載で、ウケを狙っているのかと勘繰ってしまった。


◆以下 結末に触れています◆


犯人グループの計画通り、“鉄の箱”になってしまった新湾岸署。閉じ込められた警察官たちを救うために、青島は堅牢なバリケードを木の杭で打ち破ろうとする。全く歯が立たないのは分かっているのに、それでもあきらめずに青島は仲間のために手を止めない。その姿は、警察の硬直した縦社会に風穴を開けたいという彼の理想を象徴する。事件のディテールなどどうでもいい、そう、この「踊る〜」シリーズが言いたいのは、現場をはいずり回る所轄の刑事たちの働きがもう少し報われる警察組織を実現したい、ということなのだ。。。