こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

パラノーマル・アクティビティ2

otello2011-01-13

パラノーマル・アクティビティ2 Paranormal Activity 2

ポイント ★★*
監督 トッド・ウィリアムズ
出演 ケイティー・フェザーストン/スプレイグ・グレイデン/ブライアン・ボーランド/モリー・イフラム/ミカ・スロート
ナンバー 5
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


悪意と邪気を振りまきながら幸せな家庭の中を徘徊する“それ”は、姿は決して見せず気配と物音で存在をアピールし活動をエスカレートさせていく。警告なのか殺意なのか、“それ”は一家を追い詰め徐々に破滅に導く。今回は前作の主人公をサブキャラに迎えることで物語全体の謎を解くとともに完結させ、ハンディカメラのほかに監視カメラの記録を巧みにつなぎ合わて超常現象を多角的にとらえていく。なんの変哲もない室内外のモニター映像は背筋を氷でなでられるような緊張感がみなぎり、思わず息をつめつつ見入ってしまう。ドアが閉まる音、パンが落ちる音、それらすべてに恐ろしい予兆が潜み、一瞬も気を緩められなかった。


ダニエルとクリスティ夫婦にハンターという男児が生まれる。空き巣に入られたのをきっかけに家じゅうに監視モニターを設置するが、その直後から家の中で不可解な出来事が頻発する。


飼い犬や乳母をはじめ娘のアリそしてクリスティも“それ”が発散する邪悪な空気に敏感に反応するのに、ダニエルは気のせいと決めつけ何もなかったかのように振る舞う。プールつきの豪邸に住むだけあってビジネスでは成功しているのだろう、せっかく苦労して買った家にケチをつけられているような不快感を表すあたり男の見栄が隠しきれない。また、血縁のないクリスティとアリが一生懸命に家族になろうと努力する様子も、身近なホームビデオを見ているよう。こういった登場人物の“恐怖”以外の些細な感情がさりげなく描き込まれているあたり、映画としては深みは増すが、それが逆に「ドキュメンタリー」という設定を弱くしてしまっている。


◆以下 結末に触れています◆


やがてアリはクリスティの祖先が悪魔と交わした契約をみつけ、“それ”を追いだすためにクリスティの姉・ケイティを身代りに差し出す。そこから前作につながるわけだが、やはりツケはきちんと支払わされるのだ。この「2」はショッキングなシーンに驚かされる頻度は高くなった分、作意が時々顔をチラつかせるところが難点。そもそも警備会社の据えた監視カメラが生活音まで鮮明に拾うものなのか?