こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

幸せの始まりは

otello2011-02-18

幸せの始まりは HOW DO YOU KNOW


ポイント ★★
監督 ジェームズ・L・ブルックス
出演 リース・ウィザースプーン/オーウェン・ウィルソン/ポール・ラッド/ジャック・ニコルソン
ナンバー 41
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


“普通の人生を送る資質に欠けている”。少女のころからソフトボール漬の生活を送ってきたヒロインにとって、外の世界での雑事は剛速球を打つより難しいのだろう。このままでいいのかと思いつつも好きでもない男に引きずられ、同棲までする。一方、能力もないのに父のビジネスを継ごうとした男もまた、ナイーブさゆえに実社会でのサバイバル術を持たない。そして、競争から落ちこぼれ傷ついたふたりが出会い、語り合ううちに大切なものに気づいていく。映画はそんな男女の不器用な恋の行方を、テンポの良い会話と絶妙の間で紡いでゆく。だが、エピソードの設定が不自然でリアリティに乏しく、彼らの感情に共感できなかった。


ソフトボールの五輪金メダリスト・リサは新チームの構想からはずされ、メジャーリーガーのマティの元に転がり込む。詐欺容疑をかけられているジョージは父が経営する会社を追い出されそうにる。失意の中、ジョージはリサに電話をかけ、食事に誘う。


高級マンションに住むマティはリサとのセックスに満足し真剣に交際しようとしているが、リサは精神的に大人になりきれていないマティに対して不満を抱いている。ところがジョージとは似た境遇同士、愚痴を言い合ってお互いの気持ちを理解することができる。実は父親の罪を着せられそうになっているジョージも、父への忠誠心と己の将来を天秤にかけている。負け組である自分が勝ち組になびく、つまりは一生命令され続ける暮らしを選ぶよりは、ささやかでも支え合って生きる方が幸せになれる。ジョージの秘書・アニーの出産を機にふたりはその事学ぶが、そこでもビデオなどという小道具で場を白けさせてしまうのだ。


◆以下 結末に触れています◆


二者択一を迫られるふたりは、片方を簡単には捨てられない。結局、最後には心の命じるままに決断するのだが、一筋縄ではいかないリサの複雑で繊細な心理と優柔不断なジョージの行動がかみ合わず、イライラさせられるばかり。もっとコメディと割り切って笑わせる場面を作った方が楽しめたはずだ。。。