ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー
JUSTIN BIEBER:NEVER SAY NEVER
ポイント ★★*
監督 ジョン・チュウ
出演 ジャスティン・ビーバー/ボーイズIIメン/マイリー・サイラス/ジェイデン・スミス/アッシャー
ナンバー 106
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
オーディションや売り込みといった従来の方法ではなく、YouTubeというインターネットメディアでメジャーになった最初のスーパースター、ジャスティン・ビーバー。端正なマスクとさらさらヘア、独創的な楽器の扱いと透き通るような歌声で、カナダの田舎町出身で一躍全米のヒットチャートに駆け上った彼がたどる、歌がうまい素人がマジソン・スクエア・ガーデンでライブを開くまでの道のりを追う。幼いころよりギターやドラムに親しみ、地元のコンテストに出場、投稿した動画がネットで話題になってアトランタのプロデューサーに見出され、やがて各地で熱狂的に迎えられる。カメラは彼のそんな激動の日々に密着し、魅力を探っていく。
ティーンエージャーの爆発的な支持を得るジャスティンはNY公演を控えてナーバスになっている。スタッフはみな大人、ジャスティンは彼らにプロの心得を教えられていく。ツアーの合間には地元に戻って友人たちを旧交を温め、街に出てサインに応じたりもする。彼の気さくな人柄にますますファンは魅了されていく。
圧巻はMSGでのライブシーンだ。俯瞰から遠景、クレーンでステージに近付いたりと、縦横無尽のカメラワークに圧倒される。そして巧みに編集された3D映像は、コンサートそのものを立体的に一つの物語に昇華している。さらに、マイリー・サイラスやジェイデン・スミスとのコラボがジャスティンの歌に奥行きをもたらし、重低音まで再現したサウンドが会場にいるのと同様の興奮を体験させてくれる。
◆以下 結末に触れています◆
ただ、公演の舞台裏がエンドロールでしか見られなかったのは残念だ。観客が払うチケット代金に見合うだけの完成度の高いステージはどのようにして作られるのか、ジャスティンはどのようにして楽曲を紡いでいくのかを覗いてみたかった。またバックダンサーやミュージシャンとの軋轢もあったはず。唯一大人に抵抗するのはのどを痛めているのに休もうとしないことくらい。もっとティーンエイジャーらしい自己主張やわがまま、フツーの暮らしができない苦悩といった人間的な一面も描いてほしかった。