こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ

otello2011-05-13

ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ
NANNY McPHEE AND THE BIG BANG


ポイント ★★★
監督 スザンナ・ホワイト
出演 エマ・トンプソン/マギー・ギレンホール/リス・エヴェンス/マギー・スミス/レイフ・ファインズ/ユアン・マクレガー
ナンバー 102
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


つながった眉、1本だけ突き出た前歯、鼻の下と顎の大きなイボ。魔法の杖で床を突くと暴れていた子供たちはおとなしくなり、子ブタは泳ぎだし、爆弾が落ちてくる。少し風変りな子守のおばさんが、生きていく上での躾と思いやり、そして勇気と希望を子供たちに教えていく。父親のいない田舎暮らしの3兄弟妹が、わがままな都会育ちの兄妹と対立、その純朴さとスノッブが都市と農村、上流階級と庶民の格差を際立たせている。必ずしも社会的地位が幸せを保証しているわけではなく、それは人と人の関わり合いの中で生まれていくものなのだ。


第二次大戦中、夫が出征したイザベルのもとにロンドンから親戚の子供たちが疎開してくる。彼らは農家の匂いに強烈な拒否反応を示しイザベルの子供たちを早速大喧嘩、収拾がつかなぬなったところにナニー・マクフィーが現れる。


相変わらずお互いの顔も見たくないほどいがみ合う子供たちだが、逃げ出した子ブタ捕まえようとして力を合わせることの大切さと達成感を味わっていく。木に登り空を飛びシンクロナイズドスイミングに興じる子ブタを、知略とチームワークで一網打尽にするのだ。思い出のウェディングドレスを汚されても、それ以上に子供たちの成長に満足するイザベルの表情が、母の愛情を感じさせてくれる。


◆以下 結末に触れています◆


子供は何を考えているかわからないと嘆く大人をよく見るが、子供にとっても大人は理解を超えた存在。怒鳴り散らす母親、冷たく突き放す父親、当然彼らも自分の子供たちを愛しているはずなのに、時に感情的になってしまって子供に誤解される。そんな子供目線で見た世界観がリアルである一方、マクフィーが紡ぎだすファンタジックな幻想もまた子供の豊かな想像力を刺激する。突然やってきて別れも言わずに姿を消す、怖そうなのにとても優しいマクフィーのキャラクターは、この作品の対象である子供たちにとっても非常に魅力的に映るに違いない。。。