こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アザー・ガイズ

otello2011-07-12

アザー・ガイズ THE OTHER GUYS


ポイント ★★*
監督 アダム・マッケイ
出演 ウィル・フェレル/マーク・ウォールバーグ/エヴァ・メンデス/マイケル・キートン/スティーヴ・クーガン/レイ・スティーヴンソン
ナンバー 153
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


街中を破壊しながらも悪党どもをぶちのめすスーパー刑事2人組の大暴走は、スリルと興奮が凝縮され片時も目を離せない。しかしほとんどの警察官はマスコミをにぎわす派手な表舞台とは無縁、主人公たちも地味な書類仕事についている。地道な調査で不正を嗅ぎつけ、経済犯罪を暴こうとする姿はきわめてサラリーマン的だ。映画は現場に出るよりデスクワークを好む刑事と、彼のおかげで活躍したくてもできない相棒が繰り広げるドタバタ劇を通じて、いまや米国を象徴する“悪”となった強欲な投資家をやり玉に挙げる。スパルタンなアメ車ではなくエコカーをビビりながら運転する刑事の女々しさが笑いを誘う。


NYPDの刑事アレンとテリーは、ビル建築現場の無許可工事の件で投資家・アーションを摘発・逮捕するが、護送中に武装集団に襲われる。実はアーションは投資に失敗して、その穴埋めのためのインチキファンドを募集中だった。


数百億ドルものカネを調達して投資に回し金儲けを企むアーションと彼に群がる濡れ手に粟を目論む連中。カネの前では人の命などなんとも思わない輩にアレンとテリーが頭と肉体を使って立ちはだかる! はずなのだが、肝心な時になると2人はへまをやらかす。一方で、ダサい眼鏡のもじゃもじゃ頭なのになぜか美女にモテまくるアレンやバレエダンスが上手なテリーといった、外見からはわからない彼らの意外な素顔が捜査の過程で明らかになっていく様子が楽しい。


◆以下 結末に触れています◆


やがて巨悪を敵に回したアレンとテリーは重武装したギャングたちに追われる。そこでも痛快なアクションとは程遠く、カッコ悪さばかりを見せつけるが、ウィル・フェレルのコメディセンスは少しハードルが高い。結局、あらゆる意味で殉職したスーパー刑事と対極にあるアレンとテリーのショボさこそがこの作品の最大の魅力だったということか。。。