こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カーズ2 

otello2011-08-02

カーズ2 CARS 2

ポイント ★★★
監督 ブラッド・ルイス/ジョン・ラセター
出演
ナンバー 183
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


壁を登り海に潜り空を飛ぶ・・・。 ボンドカー並みのスペックを持ったスパイ仕様車が繰り広げるカーアクションの数々は、本来荒唐無稽以外の何物でもない。だが、過去に007で実写化されているので違和感はなく、ワクワクする期待が詰まっている。さらに「ボーン」や「MI」シリーズのエッセンスをふんだんに盛り込まれた映像は、圧倒的なスリルとスピードでスクリーンから飛び出してくる。映画は壊れた友情の修復をテーマに、謀略に巻き込まれた車たちが世界を危機から救う過程を描く。カッコ悪い田舎者丸出しの主人公が現実を直視し自信を無くす姿が物悲しい。


ツアーに参戦するマックイーンに随行したメーターの車体に、追い詰められた米諜報員が極秘情報を隠し、英諜報員のフィンとホリーはメーターを米諜報員と勘違いし接触する。一方、レースに臨んだマックイーンはメーターの不注意で初戦は敗北、2台の信頼関係にひびが入る。


正直者で根はいいやつなのだが、不調法が目に余り空気を読めないメーター。彼を恥ずかしく思うマックイーン。何者でもなかった時代には無邪気に付き合えても、今やトップレーサーとなったマックイーンにとって、メーターは気が休まるどころか足を引っ張る存在になっている。己とチームの夢を叶えるためには親友といえども切らなければならない、そんなマックイーンの断腸の思いが共感を呼ぶ。


◆以下 結末に触れています◆


フィンたちと行動を共にするようになったメーターは、ツアーの裏にある巨大な陰謀を知らされ、マックイーンを助けるべくフィンに協力する。愚直だが大胆、自動車には博識で友のためなら危険も顧みないメーターの長所がそこにきてふんだんに生かされ、物語は思わぬ展開を見せつつ予想通りの結末に落ち着く。一応英女王から叙勲されたヒーローではあるが、やはり故郷の町がよく似合うメーター、各々の分にあった人生が一番幸せだということをこの作品は教えてくれる。ただ、環境問題に対する問題提起がうやむやになったままなのは不満に残るが。。。