こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アンフェア the answer

otello2011-09-23

アンフェア the answer

ポイント ★*
監督 佐藤嗣麻子
出演 篠原涼子/佐藤浩市/山田孝之/阿部サダヲ/加藤雅也/吹越満/大森南朋/寺島進/香川照之
ナンバー 225
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


「あっ、そうだったのか!」。裏切りと欺瞞、秘密と罠に満ちた複雑極まりない人間関係が一気に解き明かされる終盤で、思わず膝を打ってダマされた快感に酔いしれた。と、言いたいところだが、取ってつけたつじつま合わせの連発にはあいた口がふさがらなかった。前作同様、アイデアはパクリだらけ、穴だらけの設定と展開、もしかしてこのシリーズはツッコミを入れるのを楽しむ映画なのか。各々のシーンはきれいな映像に仕上がっているし、篠原涼子もカッコよく撮れているので、それなりにカネと手間がかかっているのはよくわかる。だが、肝心の脚本にもっと労力をつぎ込むべきだろう。


ネイルガンによる連続猟奇殺人事件が発生、北海道に異動になった雪平に会いに来た前夫・佐藤も犠牲になる。しかし、犯行現場から雪平の指紋が検出されたため、彼女は逮捕される。


犯人は事件の容疑者を殺す手の込んだ方法をとり、次に狙われるはずの雪平は検事の村上を人質にとって取調室から脱走する。一方で警察の裏金の流れを記録したUSBが絡み、警察は雪平確保に全力を上げる。東京まで逃げた雪平は信頼できる同僚を頼りつつ、単身事件の核心に迫っていく。その過程で犯人は常に雪平の先手を取り、雪平は猟奇犯の虜になってしまう。


◆以下 結末に触れています◆


結局、雪平はひとりで二つの事件を解決してしまうが、そこに至るまでに二重三重のどんでん返しが用意されている。ところが、なるほどと思えたのは村上の狂言人質だけ。後半は屋上屋を重ねたような思い付きばかりで、すべてが村上の描いた絵だったなどという噴飯ものの結末が待ち受けている。上司の一条が雪平に近付いたのもUSBのありかを聞きだすためだが、それを逆手にとった雪平は最初から一部始終を見通した上で一条を受け入れて相手の出方を探っていたのか。さらに携帯電話をかけると爆発するUSBもどういう仕組みなのか理解しがたい。このあたりの、ディテールをまったく無視した物語には恐れ入るばかりだった。。。