こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ファイナル・デッドブリッジ

otello2011-10-03

ファイナル・デッドブリッジ FINAL DESTINATION 5

ポイント ★★★
監督 スティーヴン・クォーレ
出演 エマ・ベル/ニコラス・ダゴスト/マイルス・フィッシャー/アーレン・エスカー・ペタ
ナンバー 236
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ガラス片、蛍光灯、ヤカン・・・・・小道具が客席に飛び出してくるオープニングは、この作品で扱う素材が3Dという表現法と抜群の親和性を持つことを饒舌に物語る。それは銃弾や矢といった非日常の武器ではなく、身辺にあるありふれたものが突然凶器となって襲いかかってくる恐怖。映像はその感覚を詳細に再現し、身の毛がよだつ効果を上げている。映画は予知夢によって大惨事を免れた数人の若者が、死神の執念によって一人ずつ地獄に落とされるパターンを踏襲するが、今回もスリル満載のアイデアに最後まで息の詰まる思いだった。


研修旅行に向かうバスでつり橋が崩落するビジョンを見たサムは、同僚に退避を呼びかける。何とか8人が転落から逃れるが、しばらくして生存者が次々と不可解な死を遂げていく。


工事中の橋にひびが入り、ワイヤロープが切れ、コンクリートが崩れ、溶けだしたアスファルトが流れだし、手すりが湾曲する。巨大なつり橋が少しずつ壊れるたびに人が落命していくシーンの時間的な広がりはまさに現場を体験しているよう。先に死んだ者を見送りながら、次は自分かとおびえながら逃げる、そんな登場人物の感情がリアルだ。また、体操選手が事故死する場面では、水滴やネジ、コードなどが非常に意味ありげに描かれる。いつ彼女がそれらの“危険を知らせるアイテム”に触れるのか観客に予想させハラハラさせておいて想定外の不意打ちを食らわせる手法も健在。凄惨な絶命シーンの連続は、スクリーンから顔を背けたくなるけれど目は離せない、ホラーの定石を実践する見事な演出だった。


◆以下 結末に触れています◆


その後も生存者は無残な死に目にあうが、3人目までは手の込んだ殺され方をするのに4人目以降あっさり死ぬのはネタが尽きたのか上映時間の問題なのか。それと、ラストシーンが1作目につながるのは、このシリーズの完結を意味するのだろうか。いずれにせよ、なぜ3Dにする必要があるのか理解に苦しむ映画も多い昨今、これこそ3Dで見るべきといえる作品だった。