こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション

otello2011-11-09

スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション
SCREAM 4


ポイント ★★
監督 ウェス・クレイヴン
出演 デヴィッド・アークエット/ネーヴ・キャンベル/コートニー・コックス/エマ・ロバーツ/ヘイデン・パネッティーア/アリソン・ブリー
ナンバー 267
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


突然の大音響をバックにゴーストフェイスが飛び出してくる。刃渡り30センチほどの大きなナイフを振りかざし、逃げ遅れた若者は凶刃に突き刺され絶叫と共に息絶えていく。そんな中、ホラー映画のカルトクイズで映画ファンのトリビアを刺激しつつ、過去の映画のセオリーを次々と崩していく設定が新鮮だ。ところがその過程は、鳥肌が立つ不気味さや目を背けたくなるおどろおどろしさ、背筋が凍る怖さとは無縁で、恐怖を味あわせるより観客の虚を衝いて驚かせる安易なもの。またスマートホンやネット生中継などで今っぽさを装っているが、それらの小道具の特性が生かされているとは言えず、青春群像劇としても生ぬるい。


かつて世間を騒がせた連続殺人事件の生き残り・シドニーは、自らの体験を元にした小説で売れっ子作家となっていた。彼女が本屋でサイン会をしているころ、小説に書かれた状況を彷彿させる女子高生惨殺事件が発生する。


2人の少女がダベっている部屋に何度も怪しげな電話がかかり、彼女たちが脅えた末に血しぶきをあげるプロローグをしつこく繰り返すことで、どういう展開が待ち受けているのか期待させる。だが本編に入ると、電話での殺人予告の後にゴーストフェイスが現れるお決まりのパターン。さらに数人の犠牲者が出て、その上でホラー映画では生き残るタイプの高校生までゴーストフェイスの餌食になり、犯人像がますます絞りきれなくなる。


◆以下 結末に触れています◆


この手の作品にディテールの矛盾を指摘するのは野暮。それでも唐突に訪れる「謎解き」シーンにはあいた口がふさがらない。主要な登場人物が一堂に会したところでゴーストフェイスが正体を見せるのだが、予想外というよりあまりの強引さに言葉を失った。特に犯行動機に至っては幼稚すぎる自己顕示欲、これでは殺された友人や保安官たちは浮かばれまい。まあ、真犯人の計画が達成されたと思いきや誤算が生じ、病院内でもうひと悶着起きるのはオマケとしてはよくできていたが。。。