こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

テイカーズ

otello2011-11-30

テイカーズ TAKERS


ポイント ★★★*
監督 ジョン・ラッセンホップ
出演 マット・ディロン/ポール・ウォーカー/イドリス・エルバ/ジェイ・ヘルナンデス/マイケル・イーリー/チップ“T.I.”ハリス/クリス・ブラウン/ヘイデン・クリステンセン
ナンバー 283
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


デザイナースーツに身を包み高級車を乗り回しペントハウスに住む犯罪者グループ。私生活に問題がある二人組の刑事。対照的な立場にありながら、双方とも友情と裏切りの中で仲間を完全に信頼できない。映画はプロの強盗団の大掛かりな犯行と彼らを追う刑事の地道な捜査を詳細に描き、息詰まる大活劇と知恵比べ、そして男たちの感情を丁寧に掬い取る。スピーディで無駄のない銀行強盗から大胆な現金輸送車襲撃、隘路を疾走し垣根を飛び越えビルをジャンプする圧倒的な身体能力を見せる逃走劇、破壊と死の美学すら感じさせる銃撃戦。泥臭さとスタイリッシュが混在する映像と先の読めないストーリーに、ラストまでスクリーンに目が釘付けになった。


銀行からまんまと現金を盗んだゴードンをリーダーとする強盗団・テイカーズの元にかつてのメンバー・ゴーストが戻り、新たなプランを打ち明ける。事件を追う刑事・ウェルズは爆薬の線からゴードンに目星を付ける。


ゴードンはドラッグ中毒の姉の面倒をみなければならず、ゴーストも信用しきれない。その上、ロシア人グループもカネの臭いを嗅ぎまわっている。大規模な作戦には綿密な計画と周到な準備が必要なのに、不確定要素が刑事のアンテナに引っかかっていく。一方、わずかな手掛かりを元に更なるヒントを手繰り寄せ執念深く尾行・張り込みを続ける刑事たちもまた家族に悩みの種を持ち警察の内務調査が目を光らせている。多様な登場人物が入り乱れる中、みなそれぞれにトラブルを抱えながらなんとか自分の“仕事”を全うしようとする、そうした人間像がきちんと描写されているおかげで、派手なアクションの背景を考えさせようとする構成になっているあたり、感嘆の唸り声をあげてしまった。


◆以下 結末に触れています◆


いよいよ決行の日、思わぬアクシデントでゴードンたちの予定は崩れるが、メンバーの機転でまんまと現金奪い取る。その後は息をのむ展開の連続で、誰が命を落とし誰が生き残るのかまったく予断を許さない。ロシア人グループとの撃ち合い、3すくみの決闘など男臭い見せ場もたっぷりで、思わぬ拾いものだった。


↓公式サイト↓