こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

私だけのハッピー・エンディング

otello2011-12-19

私だけのハッピー・エンディング A LITTLE BIT OF HEAVEN

ポイント ★★*
監督 ニコール・カッセル
出演 ケイト・ハドソン/ガエル・ガルシア・ベルナル/ウーピー・ゴールドバーグ/キャシー・ベイツ
ナンバー 299
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


余命あとわずかと医師に宣告されたヒロインは残された時間を気丈に振る舞おうとする。一方で、それを知った周りの人々は今までどおりに彼女に接することはできない。本心はもっと素直になりたいと思っている、だが傷つくのを恐れて何事も真剣に向き合ってこなかった彼女は命尽きるまでクールな“私”を演じようとする。映画は、がん告知をされたキャリアウーマンが、人生の最期に本当の恋に落ちて抑えていた感情を解放するまでを描く。痛みに耐え、やつれ果てても、絶対に弱気なところを他人に見せようとはしない強がりな女をケイト・ハドソンか可憐に演じる。


腹部にしこりを感じたマーリーは、病院の精密検査で末期がんと診断される。夢の中でウーピーの姿をした“神”に会い、3つの願い事を聞かれるが、最後の願いをする前に目覚めてしまう。


マーリーは冷静に運命と対峙して受け入れようとしているのに、両親や親友は彼女以上にその時が来るのを恐れている。イケメンの主治医・ジュリアンとベッドを共にしても過去の男と同様決して本気にはならないマーリー。強情とも思える彼女の態度は、一応は心配してくれる両親も親友もいるけれど、結局はだれにも胸襟を開いてこなかった証拠。この期に及んで彼女は親しい人たちとも溝を作ってしまう。仕事もプライベートも順調だったはずのマーリーだが、真実と言えるものは何ひとつ手に入れていなかった現実に突き当る過程が哀れを誘う。


◆以下 結末に触れています◆


病状が悪化し、肌にたるみが目立ち体力が衰えても、ジュリアンはマーリーに愛していると言い続ける。それでも、自分はもうすぐ死ぬ人間とジュリアンを拒むマーリー。そんな時ウーピーと再会したマーリーは、わかっていたのに気付かなかった3つ目の願いに思い当たる。心から愛すること、そして愛されたことへの感謝、あえて涙腺を刺激する演出を徹底的に回避したのが功を奏し、死というもの前向きになれる作品だった。


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