こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フライトナイト/恐怖の夜

otello2012-01-10

フライトナイト/恐怖の夜  FRIGHT NIGHT

ポイント ★★
監督 クレイグ・ギレスピー
出演 コリン・ファレル/アントン・イェルチン/クリストファー・ミンツ=プラッセ/デヴィット・テナント/イモージェン・プーツ/トニ・コレット
ナンバー 5
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

オタクの友人と縁を切ってイケてる学園生活を送ろうとする高校生、母親にはいまだ子ども扱いされているのに美人のガールフレンドがいる。主人公は冴えないオーラが出まくっているのに、それが笑いを喚起するレベルまで練り上げられておらず、ユルユルのままヴァンパイアとの戦いに突入してしまう。当然まともに太刀打ちできるわけはなく逃げ回りながら反撃のチャンスをうかがうが、その過程もコミカルな線を狙っているのかリアルな残酷描写を見せたいのか意図が茫洋としてイマイチ理解できない。結果として恐怖よりも当惑を、緊張よりも脱力感を覚える作品だった。

ラスベガス郊外の小さな町、チャーリーと母が二人で暮らす家の隣にジェリーという男が引っ越してくる。ジェリーがヴァンパイアだと聞いたチャーリーは正体を確かめるためにジェリーの家に潜入、そこで恐ろしい光景を目にする。

日光を浴びたり心臓に杭を打ち込まれない限り死なない肉体と卓越した知性を備えるヴァンパイアならば、己の存在に疑問を抱き孤独に耐えながら生きているはずなのに、ジェリーは旧態然とした血に飢えた殺人鬼。驚異的なパワーと回復力、そしてチャーリーに対する憎悪と執念といったものばかりが強調される。もはやこのタイプの人間的な感情の乏しいヴァンパイアに共感はできず、車に引きずられながらも床から手を突き出したり、背中から不動産看板を突き刺されて悶絶しつつもすぐに復活する不死身ぶりを楽しむことでしか間が持たない。

◆以下 結末に触れています◆

チャーリーはヴァンパイアショーを得意とするマジシャン・ピーターに助けを求め、ジェリーにさらわれたガールフレンドのエイミーを取り返そうとする。だが一連のクライマックスも血しぶきが飛び散る以外に3Dの効果は薄く、アっと驚く仕掛けも目を見張るスペクタクルもないユル〜い展開が最後まで続く。それにしても、なぜエイミーのような美女がチャーリーなんかと付き合っているのか、気になって仕方なかった。。。

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