こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マジック・ツリーハウス

otello2012-01-11

マジック・ツリーハウス

ポイント ★★
監督 錦織博
出演
ナンバー 6
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

本を読んで知識をため想像力を膨らませるのはもちろん素晴らしい。だが、行動して実践してこそ自分の体験となって後に活きてくる。誰かのために一歩踏み出す勇気、その気持ちが人生に彩りを添え、豊かなものにしてくれるのだ。物語は魔法によってさまざまな過去に旅をする兄妹の冒険を通じて、相手を信じること、困難から逃げないこと、そして決してあきらめないことの大切さを描いていく。ところが、この映画の映像にはジプリ作品のようなディテールに対するリアルなこだわりもなく、CGアニメのような細密さもなく、アニメーションの表現技法は20年前のクオリティ。小学生でも高学年の児童には物足りないのではないだろうか。

読書好きで物静かなジャックと活動的で動物とすぐに仲良くなれる妹のアニーは、学校からの帰り道にツリーハウスを見つける。中に入るとそこは本だらけ、恐竜図鑑を見ていると2人は恐竜の時代にタイムスリップしてしまう。

最初に迷いこんだ世界では、「ジュラシック・パーク」でおなじみの恐竜たちが登場するかと思えば、ティラノザウルスに追いかけられるという、ツッコミを入れたくなるほどの剽窃ぶり。その後の中世の城、古代ローマのポンペイ、海賊船なども様々な映画で描かれたシーンをダウングレードして見せられているよう。もう少しオリジナリティを追求してほしかった。

◆以下 結末に触れています◆

彼らの元にネズミに姿を変えられたモーガン先生という魔法使いが現れて一緒に旅をするが、なぜ彼女がネズミになったのかがよくわからない。生徒が壊した壺を魔法で修復したのが別の魔法使いに見つかったからみたいだが、時間を遡行する魔法はご法度だったのか。だとしたら、お宝のメダルを手に入れようと過去に戻るのもルール違反のはず。唯一、引っ込み思案のジャックが成長するのが救いだが、それもアニーに引っ張られて渋々なのが情けない。もっとしっかりせい! と気合を入れてやりたくなった。

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