こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ピープルVSジョージ・ルーカス

otello2012-01-23

ピープルVSジョージ・ルーカス
THE PEOPLE vs. GEORGE LUCAS

ポイント ★★★*
監督 アレクサンドレ・オー・フィリップ
出演 ゲイリー・カーツ/ニール・ゲイマン/デイヴ・プラウズ
ナンバー 15
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

思いがあまりにも情熱的ゆえに、見捨てられたときには一転して憎悪になる。「スター・ウォーズ」は一体だれのものなのか、作品は作者の所有物ではなく公共財産といった主張は一理ある。映画は、ルーカスが世界中を熱狂に巻き込み一大帝国を築き上げた後、「特別編」でファンを裏切り、「エピソード1」で失望させた事実を膨大なインタビューで再現する。ルーカスに対する感情的な悪口もあるが、根底に「スター・ウォーズ」への限りなき愛が横たわっているため、不快感よりも共感を呼ぶ。

幼少時よりモノづくりが大好きだったルーカスは大学で映画製作の才能を開花させる。コッポラのアシスタントを務めた後、メジャーで2本撮るが、自らの信念を貫くために「スター・ウォーズ」に着手する。

ルーカスはキャラクタービジネスでも大成功を収め、ファンはマニアになりオタクになりさまざまな亜流を生む。だが、'97年の「特別編」の、オリジナルにないシーンにマニアは激怒する。それは、キャラクターの解釈が変わったなどといった表面的なことより、ルーカス自身の改編であるにもかかわらず、オリジナルへの敬意を欠いていたのが原因なのだ。大けがをしたルーカス風の男が、狂った女に“脚本を書き直せ”と迫られる「ミザリー」を模した自主映画が、あらゆる抗議を代弁するが、そのユーモアのセンスに脱帽した。

◆以下 結末に触れています◆

そして「エピソード1」のジャージャーの登場で幼稚な見世物となり、フォースがたゆまぬ鍛錬の賜物ではなく遺伝的要因だったという種明かしが世界観まで壊してしまう。1作目に心酔し、続編を心待ちにしていたファンの怒り、憎しみ、あきれ果てた気持ちは非常に説得力があった。この作品では触れられていないが、個人的には3作目のタイトル「ジェダイの復讐」の「ジェダイの帰還」への知らぬ間の変更に憤りを覚えるのたが。。。

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