こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

恋と愛の測り方

otello2012-02-24

恋と愛の測り方 LAST NIGHT

オススメ度 ★★★*
監督 マッシー・タジェディン
出演 キーラ・ナイトレイ/サム・ワーシントン/エヴァ・メンデス/ギョーム・カネ
ナンバー 43
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

愛しているのに責めてしまう、いや愛しているからこそ疑ってしまう。他愛ない夫婦喧嘩、しかし言葉の端々に仕込まれた刺は、相手の心に刺さって毒となる。映画は、夫の美しい同僚に嫉妬する妻が、自らも元カレの出現に戸惑い、胸を高鳴らせ、やがて自分の本心に気づいていく姿を描く。本当に愛しているのは誰なのか、セックスは罪なのか、結婚という契約に縛られていてもふとしたきっかけで壊れるほど夫婦の絆は脆いものなのか。なかなかつながらない携帯、繋がってもどこかよそよそしい大都会の夜、同時に進行する夫と妻それぞれのアバンチュールは葛藤と逡巡、そして開放感と安心感が一体となり、もどかしくもスリリングな展開は共感と反感が相半ばする奇妙な感覚を呼び起こす。

結婚3年のカップル・マイケルとジョアンナはパーティに出席、マイケルが仕事のパートナー・ローラと親しげに話すのを見てジョアンナは激しくマイケルを詰問する。翌日、マイケルはローラと出張し、ジョアンナの前に元カレのアレックスが現れる。

隙のないビジネスマン然としたマイケルに対しアレックスは包容力に満ち、ジョアンナはたちまち楽しかったパリの日々を思い出す。一方マイケルも酒の力を借りてローラと打ち解ける。みな、秘密を抱え嘘をつく。夜が深まるにつれ目の前にいる異性がさらに魅力的に見えていく過程で、まるで催眠術に掛けられたように深層心理をむき出しにし、マイケルは未体験のときめきを、ジョアンナは懐かしい安らぎを、各々の相手から与えられていく。

◆以下 結末に触れています◆

一夜だけの肉体関係と、これからも続くであろう精神的な繋がり。どちらも裏切りに変わりない、どちらがより悪質なのかも答えはない。だが、そもそもジョアンナとアレックスの「最後のデートは2年前」、つまり先に浮気したのはジョアンナの方ではないか。しかも、出張前夜にあれほどマイケルを問い詰めたのは、かえってマイケルに浮気を勧めているようなもの。脱ぎ捨てたハイヒールをマイケルに見つかったことを知ったジョアンナの表情に、女の身勝手さがにじみ出ていた。。。

↓公式サイト↓