こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スーパー・チューズデー

otello2012-04-03

スーパー・チューズデー THE IDES OF MARCH

ポイント ★★*
監督 ジョージ・クルーニー
出演 ライアン・ゴズリング/ジョージ・クルーニー/フィリップ・シーモア・ホフマン/ポール・ジアマッティ/マリサ・トメイ/ジェフリー・ライト/エヴァン・レイチェル・ウッド
ナンバー 80
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

どんな神よりも合衆国憲法を信じると言う、高邁な理想を追い求める大統領候補。そんな彼に心酔し、自分と国の未来を託そうとする選挙戦の参謀。だが、一寸先は闇の政治の世界、わずかなスキャンダルでもマスコミに嗅ぎつけられると致命傷になりかねず、対立候補を蹴落とすためのリーク合戦は熾烈を極める。さらにマニフェストや信条で有権者の支持を得るよりも、選挙戦を有利に進めるために手っ取り早く有力議員を囲い込む裏工作に余念がない現実。映画は、大統領選を通じて正義を実現しようとした男が、大義のために良心を黒く染めていく過程を描く。正しい者が勝つのではなく、勝った者が正しいのはどこでも共通なのだ。

民主党候補者選びの天王山・オハイオ州での予備選挙を前に、モリス候補の広報官・スティーヴンは敵対候補陣営からの呼び出しを断らなかったことから上司のポールにクビを宣告される。その一方で、部下の選挙スタッフ・モリーからモリスに関する重大な情報を入手する。

「政界で唯一頼れるのは忠誠心」とスティーヴンを説教するポール。もはや過去に遡って隠し事は一切できず、100%の清潔さを求められる。しかし、相手はルール無用の戦いを挑んでくる。やがてスティーヴンの優秀な頭脳はいかに己が生き残るかという方向に高速回転を始めるが、目的のためには手段を選ばず邪魔する人間には容赦をしない男に堕ちていくスティーヴンの表情が、徐々に歪んでいくのがおぞましい。

◆以下 結末に触れています◆

それはモリスも同じ。見下していた議員を味方につけ勝利が確定的になると、手のひらを返すように彼を笑顔で迎え入れる。自らの政策を推進するためには多少の矛盾には目をつぶり、まずは決定権を握る。結局、民主主義は妥協の産物でしかないとこの作品は教えてくれる。それにしてもモリーは自分の妊娠を知りながらスティーヴンと寝ていたのだろうか。。。

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