こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

劇場版 SPEC 天

otello2012-04-09

劇場版 SPEC 天

オススメ度 ★*
監督 堤幸彦
出演 戸田恵梨香/加瀬亮/伊藤淳史/栗山千明/三浦貴大/でんでん/浅野ゆう子/福田沙紀/神木隆之介/椎名桔平/竜雷太
ナンバー 86
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

超能力を持つがゆえに恐れられ阻害された者たちが力を合わせて人間社会に挑戦状をたたきつける。一方、人間と共存しつつ反乱者を倒そうとする者もいる。スペックホルダーという超能力者たちの血の抗争、限りなく「X-MEN」に似た設定に加え既視感たっぷりの映像の羅列からはオリジナリティを感じられなかった。さらに“キル・ビル”や“フジテレビの電車男”、かつて活躍したプロボウラー名の連呼など、瞬間芸並みの単なる思い付きに過ぎない悪ふざけが連発される。そしてストーリーは思わせぶりでなかなか答えを出さないことで興味を持続させようとするが、その世界観は理解不能だった。映画なのにTVドラマの延長、カネを払って映画館に足を運んだ客に対する敬意が根本的に欠けている気がする。

多数のミイラ化死体を乗せた漂流船が発見され、スペックホルダーの犯行と断定、当麻と瀬文はニノマエの仕業と目星を付ける。ニノマエはスペックホルダーを集め、彼らの抹殺を図るシンプルプランの阻止に動き出していた。

物語はファティマの奇蹟を引用し、第三の予言がスペックホルダーと人間の最終戦争であると予感させるが、100年近く前の予言が日本で実現するなどほとんどこじつけ。また、伊藤淳史のイガグリ指やマダム陽の冷凍炎熱攻撃などの視覚効果はあまりにもベタで、特殊部隊が洋館に突入し爆破するシーンもチープさが前面に出る。もちろんあえてB級テイストを狙ったハズシの演出なのだろうが、それをユーモアにつなげるくらいのひねりが欲しかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後ニノマエの正体を当麻が暴くが、何体ものクローンが同時に出現したらクローン同士で主導権争いが起きるはず。そんなツッコミも“世界”と名乗る謎の男が吹き消してくれるのだが、結局、たくさんの要素を詰め込みすぎて整理しきれていない印象が強い。完結編では張り巡らせた伏線にきちんとオチがついているのを願うばかりだ。やっぱりTV特番と連動させるのか。。。

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