こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バトルシップ

otello2012-04-12

バトルシップ BATTLESHIP

ポイント ★★★
監督 ピーター・バーグ
出演 テイラー・キッチュ/ブルックリン・デッカー/アレクサンダー・スカルスガルド/リアーナ/浅野忠信/リーアム・ニーソン
ナンバー 71
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

洋上から突き出した巨大なモニュメント風の物体が、技術力を誇示するかのごとくトランスフォームする。黒いバッタ状の外観で海面を飛び跳ね駆逐艦に砲撃を仕掛ける様は、まるで獲物を狙う肉食獣。さらに打ち上げられた爆弾は分厚い甲板を破り艦を内部から炎上させる。映画は強大な破壊力と機動力を持つエイリアン艦隊と日米の精鋭を集めた駆逐艦3隻の海上決戦を圧倒的な大迫力の視覚効果で再現する。敵は強大だが、必ず弱点があり敵わない相手ではない。絶体絶命の窮地に立った時いかに冷静かつ大胆な行動をとれるか、物語は主人公の成長を通じて指導的立場にある者の勇気と責任、そして謙虚さとは何かを問うていく。

ハワイ沖での合同演習中、作戦海域に未確認船が着水、調査を命じられた米海軍士官・アレックスが船に飛び移ると突然シールドが発生し、駆逐艦3隻が外部との交信を遮断される。戦艦に姿を変えたエイリアン船と戦闘が始まり、アレックスの兄が乗る駆逐艦が撃沈される。

破損した通信船が香港に墜落し甚大な被害をもたらしたり火の玉状の回転兵器が軍事基地やハイウェイを襲撃するが、基本的にエイリアンは危険を感じたとき以外は攻撃してこない。彼らは偵察隊として派遣されたのだろう、むしろ地球の科学力を推し量るのが目的だったはず。本当は母星との通信手段を失って脅えていたのかもしれない。だからこそ超破壊兵器ではなく通常兵器を使い、駆逐艦も艦砲射撃で応戦する。シールドで戦域を限定したため、エイリアン対地球人の火力よりも知力での戦いになり、意表を突く戦術と最前線で砲弾をかいくぐる臨場感に時間を忘れて大いに楽しめた。

◆以下 結末に触れています◆

やがて姿を現す異星人も地球型惑星人らしく、その造形は人間と類似している。だが、“コロンブスとインディアン”のたとえ通り、彼らが常に友好的とは限らない。我々が発見し観察できる立場なら優位に立てるが、無闇に存在を外宇宙にアピールするのは無防備に犯罪多発地域を歩くようなものだとこの作品は教えてくれる。

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