こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ぱいかじ南海作戦

otello2012-06-01

ぱいかじ南海作戦

オススメ度 ★★*
監督 細川徹
出演 阿部サダヲ/永山絢斗/貫地谷しほり/佐々木希/ピエール瀧/浅野和之/斉木しげる/大水洋介
ナンバー 133
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

透き通る海と抜けるような青空、ビーチまで迫った熱帯雨林。文明を感じさせるものはほとんどなく、ただ食べて寝る生活は、心地よい南風を受けると嫌なこと事はすべて忘れさせてくれる。仕事や結婚に疲れた都会の人間からみれば、そこは夢にみた楽園。映画は、南の島にやってきた中年男が、そこでの暮らしに順応していく姿を描く。といっても絶海の無人島ではなく、カネさえ払えば大抵のモノは手に入り、他人とのふれあいもある。そんな中で新たに人間関係を築き、前向きに楽しもうとする主人公の胸の内を、阿部サダヲが過剰なまでのリアクションと独白で表現する。

離婚とリストラを機に沖縄のさらに南西にある島にやってきた佐々木は、ジャングルを抜けた先にあるビーチで4人の男と出会い意気投合する。彼らにサバイバル術を教わり自由に浸っていたが、ある日荷物をすべて盗まれてしまう。

見知らぬ他人に対する警戒心も亜熱帯気候と酒が一瞬にして取り除き、佐々木はいつのまにか身の上を話し悩みを打ち明け、くよくよしていたことが馬鹿らしくなっていく。利害関係のない人間同士の距離感の心地よさ、利益を上げるためにあくせくしなくてもよい開放感。しかし、持ち物をすべて失った後は自分で食料を調達しなければならない。そのあたり、新たにビーチに現れたオッコチという若者からもらったビールとカップめんを貪るシーンで、生きるにはまず食べなければならない現実がユートピアにも付きまとうことをシビアに示している。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらにキミとアパの女子2人が加わり、佐々木とオッコチは彼女らと共同生活することで生命線を確保する。少しだけカネも持っている彼女たちに助けられてたくましくなっていく佐々木。そこでもあまりリキまず協力し合っていつしか仲間として認められていくが、あくまでもその絆はゆる〜くサークル活動の延長のよう。「終点の先」を目指す佐々木にとって、ゴールのない旅を続けることが自分探し、果たして彼の旅に終わりはあるのだろうか。。。

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