こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホタルノヒカリ

otello2012-06-15

ホタルノヒカリ

オススメ度 ★★
監督 吉野洋
出演 綾瀬はるか/藤木直人/手越祐也/安田顕/板谷由夏/松雪泰子
ナンバー 147
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

スペイン広場にコロッセオ、真実の口etc.と「ローマの休日」の名所を駆け足で巡るカップル。結局、世界中から訪れるほとんどの観光客は、かの地の歴史には興味がなく“証拠写真”を撮りに来ることを笑い飛ばす。そしてこの映画そのものも、わざわざバカぶりをさらして、日本人がローマに抱くロマンティックな幻想を強烈に皮肉っている。仕事はデキるが家に帰るとTシャツ・ジャージに着替えてひたすらグータラ過ごす“干物女”が夫の海外出張に同行して巻き起こすトラブルを描いた喜劇は、ひとえに綾瀬はるかのヌケた熱演に支えられていた。ただ、バカバカしい世界観は原作・TVドラマを踏襲しているのかもしれないが、イマイチ乗れなかった。

新婚旅行で行く予定だったローマに出張する誠一に無理矢理ついていくホタルは、宿泊所でホタル以上の日本人干物女・莉央と出会う。2人は誠一が出かけている間に彼のスーツケースを開け、白い粉が入った袋を見つける。折しも日本人誘拐事件が起きていた。

飛行機内で知り合った若者がスーツケースを誠一のものと取り違えたり、白い粉をコカインと思いこんだり、イタリア語の電話を誘拐と早とちりしたり。とにかく短慮で短絡的な登場人物たちは次々といらぬ騒動を引き起こす。そういった状況が常に唐突に投げ出され、そのたびにホタルと莉央が珍解釈を加えてコミカルな味付けをするのだが、エピソードの流れがぶつ切りで一発芸の連続を見ているようだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて誠一の思いやりに気付いたホタルは純白のウェディングドレスに身を包み町を走りまわる。その過程もいたずらにドタバタしているだけだ。さらに莉央の悲しい過去にも触れるが、取ってつけたような安直さ。唯一、東京に戻ったホタルの「やっぱりおうちがいちばん」という言葉には共感を覚えたが。それにしても、終盤、ふたりは牧師の前で結婚式を挙げるが、バチカンのお膝元のローマにプロテスタントの教会があるのだろうか。。。

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