こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

SAFE/セイフ

otello2012-07-05

SAFE/セイフ

オススメ度 ★★*
監督 ボアズ・イェーキン
出演 ジェイソン・ステイサム
ナンバー 159
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

地下鉄でも街中でもホテルでもレストランでもカジノでも、ところ構わず銃をぶっ放す。もちろん倒されるのは悪党ばかりだが、周囲の迷惑をかえりみずに暴走する主人公とギャングたちに屈折した爽快感を覚えてしまった。映画は中国マフィア・ロシアマフィア・警察の3つの組織に狙われる数学の天才少女を、人生をあきらめた男が体を張って守ろうとする姿を描く。駆け引きと騙し合い、複雑に絡み合う利害、誰もが他者を出し抜こうとし、失敗した者には死あるのみ。そんな状況で孤立無援の男と哀しい運命を背負った少女が信頼関係を結んでいく。導入部で、やられっぱなしの上絶望の表情を見せたりもするあたり、これまでのジェイソン・ステイサムの作品とはひと味違っている。

ロシアマフィアに借りを作ったルークは、地下鉄ホームでロシア人に追われる少女・メイを救う。マンハッタンに出るとNYPDの刑事が介入、高級ホテルに隠れるが、中国マフィアがメイをさらっていく。

メイは中国マフィアのカネの流れをすべて記憶する“生きる裏帳簿”。彼女の頭の中にある金庫のナンバーを聞き出そうとロシアマフィアが誘拐し、汚職刑事グループもマフィアとの取引材料にするためにメイをつけ狙う。人が殺される場面を何度も見せられているメイはもはや世間知の低い子供ではなく、11歳にしてすでに大人以上の知恵と機転を持ち、決して単身で3グループを相手にするルークの足手まといになっていないところが物語の展開を早め、アクションの波状攻撃は考える暇を与えない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

反撃に転じたルークは、抜群の洞察力と行動力で悪党たちに先手を打って彼らを手玉に取り、さらに中国人の金庫から大金を奪おうとする。ただ、その過程での、ステイサムが得意とする格闘シーンはハンディカメラの手ブレした短いカットの連続で、卓越した技の切れ味をじっくりと堪能できなかったのが残念。このままスティーブン・セガール化するのではと少し心配になった。

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