こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

BRAVE HEARTS 海猿

otello2012-07-23

BRAVE HEARTS 海猿

オススメ度 ★★
監督 羽住英一郎
出演 伊藤英明/加藤あい/佐藤隆太/仲里依紗/三浦翔平/平山浩行/伊原剛志/時任三郎
ナンバー 181
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

決して希望を捨てるな、仲間を信じろ、あきらめなければ奇跡は起きる! その理念と情熱は素晴らしいが、ここまで大上段に構えて感動の押し売りをされると鼻白むばかり。確かに海上保安庁の最精鋭は特殊部隊並のハイレベルな訓練を受けているのだろう。頑強な肉体に不屈の魂を叩き込まれ、危険を顧みず時には自己犠牲の精神で人命救助の最前線で活躍する姿には涙腺が緩む。それでも自分の価値観に絶対の自信を持ちそれを周囲に押し付ける主人公には、もはや熱さよりも暑苦しさを覚えてしまうのだ。そして大規模事故が発生したときに湧き上がる、絆とかみんなの力とかいったお約束。そんなてんこ盛りした善意の波状攻撃に疲れてしまった。

特殊救難隊に志願した仙崎と相棒の吉岡は、エンジンが吹き飛び、東京湾に不時着するジャンボジェット機の乗客乗員の救助に急行する。その機には吉岡の別れた恋人・美香もCAとして搭乗していた。特殊救難隊は機体が沈没するまでのわずか20分間に乗客乗員346名を避難させなければならない。

関係各省庁の役人たちが対策本部を作り、現場では多数の海保職員・警官・消防署員が待機する。ほかにも、医師看護師漁船レジャーボートまでもが救難活動に参加するが、彼らのほとんどは航空機事故というお祭り騒ぎを体験したくてしょうがない人たち。もし本当に似たような事態が生じたら、野次馬気分のボランティアで逆に混乱すると思うが。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、機は真っ二つに折れ、仙崎はパイロットの救出に向かい、吉岡は機体後部に取り残された美香を助けに行ったまま機体とともに60メートルの海底に沈んでしまう。吉岡は美香の命と引き換えに殉職したのか? 前作「THE LAST MESSAGE」でも、死んだはずの仙崎がしゃーしゃーと救急車の陰で妻とキスしていて苦笑したが、今回も嫌な予感が当たってしまい、かえって爆笑してしまった。まあ、海猿たちは「海上保安庁」のコスチュームに身を包んだスーパーヒーローだと受け止めれば腹も立たないが。。。

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