こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

映画 ひみつのアッコちゃん

otello2012-08-25

映画 ひみつのアッコちゃん

オススメ度 ★★★
監督 川村泰祐
出演 綾瀬はるか/岡田将生/谷原章介/吹石一恵/塚地武雅/大杉漣/吉田里琴/もたいまさこ/香川照之/鹿賀丈史
ナンバー 209
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

お化粧してきれいになりたい! 11歳の少女の願いが叶う。憧れていた大人の世界、それはバッチリメークして華やかな職業に就くことだと思っていたのに、小さく地道な作業の繰り返しと積み重ねだった現実。同時に小学生ならではの観点で、“正しい行い”と、言いたくても言えなかった真実を堂々と言葉にする。映画は、大人の姿になったヒロインが、「会社」という社会を通して、働く意義を学んでいく過程を描く。結果がすべてのビジネスにおいて、魔法を使ってズルしても結局は己に跳ね返る教訓を得る一方で、「人の話をきちんと聞く」「暴力はいけない」といった正論で押し切るヒロインは魅力たっぷり。中身は子供で見かけは成人の女を綾瀬はるかがチャーミングに演じ切る。

鏡の精にもらったコンパクトで10年後の自分に変身した小学5年生のアッコは、百貨店のコスメ売り場で化粧品開発部員の尚人にスカウトされ、彼のオフィスに出入りするようになる。尚人は彼女の斬新なアイデアを企画としてまとめるが、会社乗っ取りを目論む専務一派につぶされる。

アッコが身にまとうカラフルでキュートな衣装はまさに女の子の夢。服に元気をもらうと高揚感が表情にあふれ、尚人の同僚にも伝染していく。尚人はあきらめかけていた新製品の開発に着手し、筆頭株主に頭を下げ、M&Aを図る事業家との対決に向かう。尚人に同行するアッコは尚人にはなかった視点で相手に訴え、小学校で習う道徳・倫理を買収者にぶつける。もはや忘れてしまった、人を信じる心や正直な生き方がアッコの口から語られるのだが、彼女の論点のずれたボケ方が絶妙で、思わず笑い転げてしまった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、派手さはないけれど誇りを持って日々努力する尚人に、アッコは魅かれていく。しかし、恋の駆け引きを知る由もなく、尚人を困惑させるだけ。それでも彼を救う覚悟を決めるなど、アッコの気持ちは本物だ。そして「早稲田大学算数学部」に託した思いも、エスプリが利いていた。

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