こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハーバー・クライシス 湾岸危機

otello2012-08-30

ハーバー・クライシス 湾岸危機

オススメ度 ★★★
監督 ツァイ・ユエシュン
出演 マーク・チャオ/ホアン・ボー/EAN FUJIOKA/アンジェラベイビー/レオン・ダイ
ナンバー 210
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

閃光とともにきのこ雲が湧きあがり数秒後に強烈なエネルギーがすべてを焼き尽くす。反物質を応用した新型大量破壊兵器実験シーンの爆発から衝撃波到達までの「間」が絶妙で、思わず映像の迫力に息をのむ。そして、カーチェイスに始まり派手な銃撃戦と格闘、加えて航空機上での死闘までスリリングなアクションの連続は、瞬きするのもはばかれるほどのスピードとテンション。映画は殺人事件を捜査する刑事と奪われたダイヤを取り戻そうとするヤクザが同じターゲットを追ううちに、巨大な陰謀に巻き込まれていく姿を描く。次から次に襲いかかる敵、誰に加勢すべきかわからないまま応戦し、時に逃げつつも真相に近づこうとする過程は多少の混乱はあるものの、スピーディな展開は考える暇を与えない。

台湾南部の都市、停職中の刑事・ウーは密売現場に踏み込むが謎の軍人集団が武力で取引を制圧、ダイヤが入ったケースを強奪していく。生き残ったヤクザ・シューはダイヤを奪還すべく、ウーは背景を探るために、とりあえず2人は行動を共にする。

さらにMITの女学生や仲買人、台湾情報局や西洋人の殺し屋兄弟、ヤクザのヒットマンと様々なバックグラウンドを持つ人物・組織が入り乱れダイヤのアタシェケースを追跡する。誰もが誰もを出し抜こうとして、強力な武器を躊躇なく使う。一方で助けてくれたヤツは信用できるのか、襲撃者の黒幕は何者なのか、迫りくる大量破壊兵器の起爆を止められるのかといった様々な障害が2人に突き付けられ、結局お互いしか信頼できないと悟ったウーとシューの間に友情が芽生えていく。そのあたり、ハードな活劇とは対照的に、実は小心者のシューがコミカルなアクセントとなって緊張をほぐしてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてアタシェケースの真の価値と国防大臣の関わりが明らかになるにつれ、もはや阻止できるのはウーとシューの2人だけという事態に陥っていく。そこでも死んだはずの男が生きていたり味方だった男が裏切り者だったりと、物語は二転三転。多岐にわたる登場人物の相関関係をあらかじめ頭にインプットしておかないと分かりづらが、それを忘れさせる圧倒的な疾走感は最後まで衰えなかった。

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