こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

莫逆家族―バクギャクファミーリア―

otello2012-09-12

莫逆家族―バクギャクファミーリア―

監督 熊切和嘉
出演 徳井義実/林遣都/阿部サダヲ/玉山鉄二/大森南朋/北村一輝/ARATA/倍賞美津子/村上淳/新井浩文
ナンバー 178
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

高校生の息子に見下され、妻との仲もギクシャクしている。黙々と肉体労働に従事しているが、心の澱はたまっていくばかり。ままならない日常、これも人生とあきらめかけている。物語は、そんな男が昔日の燃えるような魂を取り戻そうと共に暴れたかつての暴走族幹部に声をかけ、熱き血をたぎらせて闘う過程を追う。ケンカに明け暮れていたあのころ、仲間を家族同様に守るのが己の生き方と定め、固い結束を誓った。その思いは皆、今も変わらないのだろうか。主人公の怒りと苦悩、そして一度決めたら最後までやりぬく信念。映画は、中年の域にさしかかったオッサンたちの雄姿を通じ、筋を通す大切さを訴えていく。

建築現場で働く鉄の元に暴走族時代の親友・浩介が現れ、あつしの娘・真琴が暴行されたと伝える。鉄はばらばらになっていたメンバーを招集し、暴行犯を捕まえた上、あつしにケリを付けさせる。

それがきっかけでまたつるみはじめた彼らだったが、元総長・ナベの出所で運命が暗転する。当時、ナベの弟を死なせたことからナベに脅える五十嵐が恐怖のあまり我を失ない、かろうじて弟分の緒方に止められる。だが、緒方が命がけで五十嵐のトラウマを取り除いたにもかかわらず、逆に五十嵐はより凶暴化して、狂気を湛えたチンピラになってしまう。この五十嵐というキャラクター、原作でどう描かれているのか知らないが、イマイチよくわからなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、五十嵐一味が真琴を狙ったせいで、鉄一派は五十嵐たちと全面戦争に突入する。しかし、金属バット・鉄パイプ・カッターナイフなどを手にしたオッサンたちが降りしきる雨の中大立ち回りする様子はもはや痛々しさしか感じさせず、やはり集団での殴り合いが似合う設定は十代がリミットと実感する。中途半端なツッパリの息子に“男の美学”を示したい鉄の気持ちは理解できるが、そのために悪党とはいえ人を殺めてしまっては元も子もないと思うが。。。

オススメ度 ★★

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