こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

大恐竜時代 タルボサウルスVSティラノサウルス

otello2012-09-20

大恐竜時代 タルボサウルスVSティラノサウルス

監督 ハン・サンホ
出演
ナンバー 227
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

巨大な頭部と発達したアゴ、筋肉が隆起した後足、太く長い尾。最強の肉食恐竜・ティラノサウルスの赤みがかった風貌は、凶暴で狡猾、だが、常に単独で行動するその孤高は美しさすら纏う。一方、家族で狩りをするタルボサウルスはチームワークが命。親子が役割を分担して獲物を追いこんで仕留める。物語はこのファミリーがティラノサウルスに殺され、唯一助かった小さな息子の成長を通じ、弱肉強食の自然界の掟の中で力の劣るものが生き残るためには家族の団結が必要であることを訴える。主人公の恐竜の冒険とサバイバルが一人称で語られる子供向けの作品ながら、深い森や広い草原、どこまでも続く海岸線といった風景は壮大、それらを背景にCGの恐竜たちは細部までリアルに再現されている。

母と兄、姉2頭と暮らすタルボサウルスの子供・パッチは好奇心が旺盛だが、まだ狩りには参加させてもらえない。ある日、縄張りをめぐってティラノサウルスのレックスと衝突、バッチは目の前で家族を殺される。

他の恐竜の卵を盗で飢えをしのいでいたパッチは、見よう見まねで生き抜くすべを体得していく。その後メスと出会い、協力して狩りをする方法を学ぶうち2頭はつがいメスは卵を産む。パッチは親となり守るべき家族が出来ていっそうたくましくなっていくが、まだまだレックスには敵わない。20年にわたるパッチの半生の節目節目にレックスが登場するが、ティラノサウルスの寿命はどれくらいなのだろう。やがて火山噴火による気候変動で住処を追われたり、移動の過程で集団戦法を得意とするヴェロキラプトルに襲われたり、まだまだパッチの災難は続く。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

子育てを通じての生存技術の伝承、集団での頭脳的な狩り、強烈な縄張り意識と執拗な執念など、この映画で描かれる白亜紀の恐竜たちは現代の爬虫類と比べて非常に知能が高いが、恐竜学者による考証はきちんと受けているらしい。でも、そんな理屈など抜きに、恐竜たちが暴れまわる姿にわくわくし、遠い過去に想像力をいざなってくれる。

オススメ度 ★★*

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