こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ロック・オブ・エイジズ

otello2012-09-24

ロック・オブ・エイジズ ROCK OF AGES

監督 アダム・シャンクマン
出演 ジュリアン・ハフ/ディエゴ・ボネータ/ラッセル・ブランド/ポール・ジアマッティ/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/マリン・アッカーマン/メアリー・J・ブライジ/ブライアン・クランストン/アレック・ボールドウィン/トム・クルーズ
ナンバー 235
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ロックがいまだ反体制の象徴だった時代、大人が築いた保守的な価値観に疑問を持つ若者たちは、自らの怒りや不満を激しいリズムに乗せて絶叫する。自分の夢を叶えたい、世界を変えたい、そして何より魂の自由を信じていたい、そんな思いがスクリーンから迸っていた。物語は歌手を目指して故郷を後にした娘が、様々な試練や挫折、失恋を乗り越えて成功するまでを描く。サウンドやダンス、ヘアスタイルからデカいケータイ、タワーレコードといったファッションや文化までディテール豊かに再現された映像が懐かしい。またロックからポップスに転向したグループが見せる振り付けは現代の韓流グループ風で、奇妙な味わいがあった。

1987年、トランクひとつでLAに降り立ったシェリーはドリューと知り合い、彼が勤務するライブハウスでウエイトレスを始める。ある日、ロック界のスーパースターのステイシーの前座でドリューが歌うことになるが、ドリューはシェリーとステイシーの仲を誤解してしまう。

ドリューにふられたシェリーはダンサーとなりストリップまがいの店で働き始めるが、やがて壁を感じてしまう。スカウトされたドリューは意に染まぬ方向転換を強いられ、道を見失ってしまう。さらにロックを堕落と決めつける市長夫人らの反対デモや、悪徳マネージャーといった「大人たち」の打算的な行動が彼らの希望を奪っていく。ロックはビジネスではなく生き方そのもの、その精神を貫き通せるのはステイシーのようにスターになった者だけという厳しい現実に若いふたりが押しつぶぶされそうになるのはもはや手垢のついた展開ながら、ノリのいいミュージカルナンバーの数々が彩りを添えて楽しませてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ライブハウス支配人の苦悩や市長夫人の過去などのサイドストーリーのほうが人生を積み重ねた深みがある上、ステイシーを怪演するトム・クルーズがすっかり主役の座を奪い、シェリーとアダムの青春サクセスストーリーの存在感が薄まってしまった。これでよかったのだろうか。。。

オススメ度 ★★*

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