こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハンガーゲーム

otello2012-10-02

ハンガーゲーム THE HUNGER GAMES

監督 ゲイリー・ロス
出演 ジェニファー・ローレンス/ジョシュ・ハッチャーソン/リアム・ヘムズワース/ウディ・ハレルソン/ドナルド・サザーランド/スタンリー・トゥッチ/レニー・クラヴィッツ
ナンバー 242
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

選ばれた戦士24人中、生き残るのはたった一人。ナイフや弓矢で競争相手を蹴落とすだけがサバイバルではなく、自然(と言っても人工物だが)のなかで水や食料をいかに効率よく手に入れ、休息を武器にし、視聴者を味方にするか。そんな状況で少女は、守るべきは自分の命なのか人間としての尊厳なのかを自問し続ける。物語は「バトル・ロワイヤル」をハリウッド流にスケールアップさせ、運命に立ち向かう中で次第に自らの使命に目覚めていくヒロインの成長を描く。未来都市の造形と都市の人々のファッションが目を見張る一方、プレイヤーたちが使う戦略や戦術がアイデアにあふれ、経験値が増すうちに強くなっていく姿がゲーム感覚で楽しめる。

年に一度開かれるハンガー・ゲーム参加者に選ばれた妹にかわって志願したカットニスは、同地区のピーターともにトレーニング施設に送られる。研修の後、24人のプレイヤーは深い森の闘技場に放たれる。

支配層が住む都市部と隷属地区の格差、さらに隷属地区の住民は支配層のために命がけの娯楽を提供させられている。もはや支配される側は希望も持てず、圧倒的な支配層の権力の前で抵抗する気力すらなくただ従属を強いられるのみ。映画はそうした背景の説明に半分以上の上映時間を割き、その閉鎖的な身分社会は行き過ぎた資本主義のなれの果てなのか、現代社会の写し鏡のようだ。かなり歪んではいるけれど。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてハンガー・ゲームが開始、カットニスはサバイバルキットを手にすると森に隠れ、殺し合いを傍観する。その後の展開は、カットニスが勝者になるのも含めてある程度予想はつくが、監視している組織がやたらゲームに介入したり、スポンサーが差し入れしたりするのには鼻白む思いだった。まして、一度変更したルールをやっぱり元の戻し、そこからもう一度変更するなど言語道断。これでは参加者のみならず、ゲームを観戦する視聴者からもクレームが来るはずだ。もちろんこの映画の観客からも。。。

オススメ度 ★★

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