こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

今日、恋をはじめます

otello2012-12-10

今日、恋をはじめます

監督 古澤健
出演 武井咲/松坂桃李/木村文乃/青柳翔/山崎賢人/新川優愛/高梨臨
ナンバー 303
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

学校指定のブレザーとひざ下丈スカート、三つ編みおさげに銀縁メガネ。デートには丸首トレーナーに白いソックスで現れ、動物園に行こうと言い出す。キスは好きな人にのみ許しもちろんエッチは結婚までおあずけ。まだエンコーなどという言葉がなかった80年代の女子高生トレンドを体現するヒロインを武井咲がひたすらまっすぐに演じ、コミカルな味わいをもたらしている。ピュアなほど一生懸命、でも恋する気持ちは抑えきれない。好きなのにうまく伝えられない、告白されても自信が持てない。そんな彼女が学園一のイケメン秀才と付き合ううちに真実の愛と人生に目覚めていく姿はエキセントリックな驚きにあふれている。

入学した高校で京汰の隣の席になったつばきは、突然キスをされ面食らうが、「春祭」実行委員になったことから急接近する。ところが初めてのデートでいきなり押し倒され、自分が大切にされていないと知って怒ってしまう。

勉強ができるだけでなく、カリスマ性も備えた京汰の強引さに振り回されるつばき。いつしか彼のペースにはまってしまい、嫌いだったはずなのに気になって仕方がない。一方で、黒いシロクマと罵ったり、分刻みのスケジュールで遊園地内を移動する少しズレた真面目さが京汰をあきれさせる。そのあたりのつばきの繊細さと言動のギャップが大いに笑いを誘い、現実離れした京汰のキャラクターを補っていく。そして京汰によって服をコーディネートされヘアスタイルを変えられ芋虫から蝶のように変身する過程は、女の子のシンデレラ願望を見事に体現していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、つばきは京汰の母親へのトラウマを取り除いてやったり、恋敵の出現にうろたえるが、己の進むべき道を見つけたりもする。将来の夢と恋、どちらかひとつを選ぶなんてできない。クリスマスイブの夜空をロマンティックに彩る流星群につばきの瑞々しい思いが弾けるシーンは、未来は希望に満ちていると信じさせてくれる。

オススメ度 ★★*

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