こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ディラン・ドッグ

otello2012-12-27

ディラン・ドッグ DYLAN DOG:DEAD OF NIGHT

監督 ケヴィン・ マンロー
出演 ブランドン・ラウス/サム・ハンティントン/アニタ・ブリーム/ピーター・ストーメア/テイ・ディッグス/カート・エンジェル/ブライアン・スティール
ナンバー 257
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

吸血鬼や狼人間が人間に交じって暮らしているという発想はもはや新しくもないが、ここではゾンビまでが人間の相棒となって活躍する。ひたすら人間の肉を食らおうとする屍鬼ではなく、思考も感情も人間だったころのまま食べ物の嗜好が変わってしまった上、「ゾンビとして生きる」サークルに参加する姿が滑稽だ。映画は、モンスターたちと人間が共存する町で起きた殺人事件を、人間の主人公が独自の捜査で解決していく過程を描く。吸血鬼も狼人間も、それなりの人数をかかえて社会を構成し、当然派閥や仲間同士での反目もあるが、基本的にマイノリティらしく波風を立てぬよう苦心している。それに引き換え人間の愚かさ醜さを際立たせる、そんな狙いは一応理解できるのだが。。。

毛むくじゃらの怪物に父を惨殺されたエリザベスは、元モンスターハンターの探偵・ディランに真相究明を依頼する。ディランは一旦断るが、部下のマーカスがゾンビにされたことから調査を引き受け、狼人間、吸血鬼らに聞き込みをするうちに、邪悪な力を持つ十字架の存在に行き当たる。

口が重い関係者を詰問し、謎をひとつ解明するとまた別の難題が持ち上がるミステリーの定石を踏まえてはいる。だが、いかにもチープな映像は、死後も生き続けなければならないモンスターたちの苦悩には触れずただ騒がしいだけ。もっと、ライティングを工夫して光と影の濃淡を際立たせるなど、スタイリッシュで洗練された絵作りに徹するアイデアがあれば楽しめたはずだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

本来、クールなイケメン・ディランと泥臭いゾンビ・マーカスの凸凹コンビが織りなす絶妙のやり取りを楽しむコメディなのだろう。ところが、ディランを演じたブランドン・ラウスは顔が整い過ぎてモンスターハンター的な胡散臭さがまったくなく、この作品の世界観から完全に浮いている。ジョニー・デップとはいわないが、もう少し「闇」に精通したキャラクターを“怪演”できる俳優を使うべきだった。

オススメ度 ★★

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