こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

青の祓魔師(エクソシスト) 劇場版

otello2013-01-05

青の祓魔師(エクソシスト) 劇場版

監督 高橋敦史
出演
ナンバー 2
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

嫌な思い出を取り除き、楽しい思いだけを残して幸せにしてやろうとする子供。ところが彼の能力は、人々から勤労意欲を奪い堕落させる。ゆえに子供は悪魔とさげすまれ封印されてしまう。親切なのに結果が悪影響をもたらしたために誤解される、そんな彼の気持ちが切ない。物語は、祝祭に沸く町で魔物退治が行われる中、不思議な力を持った子供の世話を任された主人公がより大きな災厄に自ら身を投じ、思いやりとは何かを見つけていく姿を描く。極彩色のレトロフューチャーな魔都といった風情の街並みが妖しい魅力を放っている。

ファントムトレインの暴走を止めようとした燐は予定外の任務に手を出して町を破壊する。がれきの中で小さな男の子を見つけ監視役を任命されるが、うさ麻呂と名付けたその子といつのまにか仲良くなる。うさ麻呂は人の思念や記憶を消す力を持っていた。

粗雑で乱暴だが困っている誰かを見ると放っておけない燐。いや困っていなくても勝手に相手の心中を想像して、首を突っ込んでは巻き込まれてしまう。挙句にやり過ぎる典型的なトラブルメーカー、だがその自覚はなく一見迷惑な存在でしかない。それでも彼の不器用ではあるが深い愛がいつのまにか伝染し、周囲の人々は彼に協力していく。よく知らぬ他人でも、疑うよりは信じよう、争うよりは仲良くなろうという燐の信念こそ21世紀に生きる我々に必要とされているものではないだろうか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて警備隊のやる気まで食ってしまったうさ麻呂のせいで結界が破れ、街に魔物があふれだす。もはや手がつけられない状態になって初めて己の善意は人間にとっては邪悪を産むものと気づく。まだ幼い彼は知らないが、つらい過去も含めてすべてが人生の一部分であることを学んでいくのだ。最後までうさ麻呂を仲間として扱い、彼に自己犠牲の精神を芽生えさせる燐のありえないほどのバカ正直な人間愛は、むしろ爽快だった。。。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓