こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)

otello2013-01-16

劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)

監督 佐藤雄三
出演
ナンバー 11
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

“友だちを作るな、友だちはきっと裏切る、さもなくばお前が友だちを裏切る”。そう教えられて育った少年は旅の相棒ですら信じられない。直情径行型で誰とでもすぐ仲良くなれるもうひとりの少年は他人の心をつかむ能力に優れている。映画は2人が、同僚の目を奪った悪党を追ってバトルを繰り返すうちに、真の友とは何かを学んでいく過程を描く。彼らが属するハンター集団、人の目を通じて世界を支配しようとする男、正体不明の少女、腕利きの猛者が集まった盗賊団、そして絶体絶命の時に現れる謎の男。多岐にわたるキャラクターが登場し人物相関図は絡み合うが、冒頭で紹介される簡単なバックグラウンドが初めて見る観客の理解を助けてくれる。

ゴンとキルアはハンター仲間のクラピカの目が奪われたと知らされる。犯人の手掛かりを求めてクラピカのビジョンの地を探し始めたゴンとキルアは、道中人形師・レツに出会う。レツは2人をビジョンの地に案内すると言う。

意志と感情が凝縮された「目」を奪って人々を傀儡として操るオモカゲ。生者だけでなく死者までも蘇らせゴンとキルアの前に立ちはだかる。未熟な2人にはとてもかなわない敵が現れ、ゴンは最後まで力を合わせて闘おうとするが、裏切られるかもしれないと疑心暗鬼のキルアは腰が引けている。それでもゴンの一途なまでの友を思う気持ちに嘘はないと気づき、キルアはゴンの信頼にこたえようとする。ひとりではない、仲間がいる、それだけで戦う勇気が湧いてくる展開は少年マンガの王道だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、オモカゲを追い詰めたゴンたちは、彼の恩義や友情を逆手に取った戦法に苦戦するが、助っ人のおかげなんとか窮地を切り抜ける。自分の人生を生きたいと願うレツの哀しみ。複雑な動機は妹への深い思いの裏返しだったオモカゲ。この兄妹の関係は、愛は生きる上で最も大切だが、その愛によって狂わされる人間にはとてつもない悲劇をもたらすことを物語っていた。

オススメ度 ★★*

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