こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

PARKER/パーカー

otello2013-02-11

PARKER/パーカー

監督 テイラー・ハックフォード
出演 ジェイソン・ステイサム/ジェニファー・ロペス/ニック・ノルティ/マイケル・チクリス/クリフトン・コリンズ・Jr/ウェンデル・ピアース
ナンバー 33
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

銃を手にしても一般人には銃口を向けない。カネは奪うが人質を傷つけたりはしない。ケチな泥棒とは違う、銃器の扱いにも格闘技にも熟練したプロの犯罪者。時に暴力も辞さず殺人も厭わないが、それは自身に危険が迫った時だけ。そんな義理人情に篤く、自分のルールに忠実な男に扮するジェイソン・ステイサムがクール。今回の主人公もこれまでの演じてきたキャラクターの延長線上にあるのだが、テイラー・ハックフォードの演出によって“粋”なほど進化している。自信に満ちた立ち居振る舞いは、ハゲ頭さえスタイリッシュに見せるほど洗練されていた。

一匹狼の犯罪者・パーカーは、一時的にメランダーら4人組と組んで州祭りの売り上げを強奪するが、次の仕事を断ったために殺されそうになる。一命を取り留めた後、4人組の行方を追ってマイアミに行く。4人組の背後にはシカゴの大ボスの影がちらついていた。

パーカーは重傷を負うが、病院を抜け出すと瞬く間にカネを手に入れ車を盗み身分を偽装する。その鮮やかな手口は様式美を思わせる無駄のない動きだ。さらにマイアミで不動産販売員・レスリーと知り合い自らの復讐に巻き込んでしまうが、彼女の危機には命がけで守ろうとする。一方でレスリーに言い寄られても恋人への思いを貫くあたり、身持ちもかたい。アンダーグラウンドに生きる犯罪者なのにかたくなに己の美学を貫く姿は、「男の世界」ではやせ我慢こそヒーローの条件であることを教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてシカゴから来た殺し屋を倒し、4人組の計画を察知したパーカーは、レスリーに案内された彼らのアジトで待ち伏せる。宝石強盗の手際の良さ、それを計算した上でのパーカーが張り巡らせた罠、そして想定外の出来事。物語は急展開を見せつつもクライマックスに突入するが、パーカーが冷静沈着に事態に対応していく過程は、取ってつけたようなどんでん返しがない分、彼のアクションに集中できる。命の恩人への礼も忘れないところも人間としての品格を感じさせてくれた。。。

オススメ度 ★★★

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