こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

17歳のエンディングノート

otello2013-03-05

17歳のエンディングノート Now Is Good

監督 オル・パーカー
出演 ダコタ・ファニング/ジェレミー・アーバイン/パディ・コンシダイン/オリビア・ウィリアムズ/カヤ・スコデラーリオ
ナンバー 50
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

時間はあとわずかしかないのに、経験していないことがいまだにたくさんある。ならば、わが身の不幸を憂えるより、行動に移そう。映画は不治の病に冒されたされた少女が残りの人生をいかに過ごしたかを描く。うわべの気遣いはいらない、本当に思ってくれる人がそばにいてくれればいい。奇跡なんか起きないのは分かっている、それでも何か存在した証を残したい。家族と友人に見守られ自分が周囲からどれほど愛されていたかと実感する姿はあくまでドライで、初めての恋を体験して関わった人々にも影響を与えていく過程も感傷的になりすぎずに心地よい。ミニマルな人間関係の中、冷めた目で己を見るクールなヒロインが抱える、生への執着と死への諦観がせめぎ合う感情が非常にリアルに再現されていた。

白血病の末期患者・テッサは17歳、セックス、ドラッグ、万引きetc.を体が動くうちにやっておこうと決心する。だが、隣人のアダムと知り合って、テッサはまだ恋をしてないと気づく。

テッサ本人は運命に従う覚悟ができているのに、彼女のパパは何か解決策があるのではと探し続けている。別居中のママも娘の死が近づいているのを受け入れられない。きっと、両親はテッサの入院生活中も胸をかきむしられる思いに耐えてきたのだろう。娘の闘病に付き添ってやるだけ、無力感と娘に先立たれるつらさからつい号泣してしまうパパの気持ちがとても切なかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらに病状が悪化し、テッサは度々失神したり鼻血が止まらなくなったりする。アダムはそんなテッサに対し普通のボーイフレンドとして振る舞いつつ、大学への復学の準備を始める。妊娠した親友のゾーイは中絶よりも出産を選ぶ。テッサの、最期の瞬間まで命を全うしようとする姿勢がアダムとゾーイを変える、それが彼女の死を哀しみよりもこの世に生を授かった喜びに昇華させていた。。。

オススメ度 ★★★

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