こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ダイナソー・プロジェクト

otello2013-03-20

ダイナソー・プロジェクト THE DINOSAUR PROJECT

監督 シド・ベネット
出演 マット・ケイン/リチャード・ディレイン/ナターシャ・ローリング/ピーター・ブルック/アベナ・アイボール
ナンバー 23
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

アフリカ奥地に未確認生物の調査に向かった学者とTVクルーが行方不明になり、後に彼らが残した長時間の記憶媒体だけが見つかる。手垢のついたフェイクドキュメンタリーの手法ではあるが、この作品は“宣伝戦略”を含めて作りモノであることを認めているところに潔さを覚える。物語は通信も補給も途絶えた一行が、恐竜たちが太古から現存する人跡未踏のジャングルで苦闘する姿を描きつつ、彼らが体験した“ロストワールド”を再現する。簡単に装着できる小型ビデオカメラがとらえた映像という前提のもと、恐竜の息遣いが伝わってくるようなアングルが新鮮だった。

動物学者のジョナサンをリーダーとする探検隊は、原住民がモケーレ・ムベンベと呼ぶ謎の動物の実態を追ってヘリコプターで現地入りするが、飛行動物にぶつかって墜落・遭難する。衛星電話も壊れ孤立した彼らは、住民が消えた村にたどり着きキャンプを張る。

そこは弱肉強食の掟が支配する世界、身を守る武器を持たない隊員たちは次々に餌食になっていく。巨大コウモリや人食い魚と闘う一方で、ジョナサンの息子・ルークは警戒心の緩い小型恐竜を手なづけてしまう。映画はいつしかルークのサバイバルに軸足を移し、彼のカメラ=彼の主観映像が主体となり、恐竜を“発見”した興奮と知的水準が高い恐竜との友情などが躍動感たっぷりに記録されていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

驚きが恐怖に変わりやがて絶望していく。このジャンルは必ず当事者全員が死んでいるために撮影者の感情の変化はパターン化されてしまいがちだが、好奇心旺盛で怖いもの知らずの機知にも富んだ少年・ルークを主人公に据えたため、むしろ冒険心に満ちたシーンが増えてスピーディに展開している。そのあたりは工夫がみられたが、いかんせん出てくる恐竜の数も種類も少なすぎた。結局、人間同士の諍いの方に時間がとられていたような気がする。あと、最後にルークはHDの入ったリュックを崖下に投げるが、この様子は誰が撮ったのだ???

オススメ度 ★★

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