こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー

otello2013-03-23

ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー

監督 石田雄介
出演 ナオト・インティライミ
ナンバー 66
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

心をオープンにして笑顔で接すれば見知らぬ人ともすぐに仲良くなれる。そんな信念を持っているのか、無邪気な図々しさでずかずかと他人の懐に飛び込む主人公。“あなたに会えてうれしい”気持ちを全身で表現するため、いつしか相手も彼を受け入れてしまう。映画は“旅人系シンガーソングライター”、ナオト・インティライミの旅に密着し、出会いと交流、再会と挑戦、そして生きる喜びを歌い踊る姿を追う。何でも経験してやろうという好奇心、失敗からの立ち直りの速さ、何事も前向きに考える楽天家。特に予定を決めず旅先でのハプニングを歓迎するナオトに、人生の楽しみとは何かを教えられるようだ。

エチオピア奥地の村で数日過ごしたナオトは、南米に旧知のスター歌手を訪ねた後、カリブの祝祭に飛び入り参加する。行く先々で自作の歌を口ずさみ、現地の人との親交を大切にするナオトは音楽の力を信じて疑わない。

コロンビアで8年半前に知り合ったアンドレスに会いに行き、散々振り回されるエピソードが奇妙な緊張感があってハラハラさせる。食事の約束をドタキャンされた上、コンサートで歌わせてやると言われたのに舞台監督に門前払いを食わされそうになる。それでもステージの袖でずっとアンドレスから声がかかるのを待ち続けるナオト。自分の実力不足を思い知って悔しくて悲しくて残念なはずなのに、「これもきっと意味のあること」と決してアンドレスを恨んだりはしない。この精神的なタフネスがナオトのいちばんの魅力だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

トリニダード・トバゴではまったくの1ファンとして地元のスター・ケスの楽屋に押し掛ける。そこでもナオトから発散される“善人オーラ”がケスの警戒心を解いたのだろう、ケスは初対面の日本人を気さくに迎える。自らの思いを懸命にケスに伝えることで、ケスもまたナオトの本質を理解するのだ。ナオトという歌手の存在をこの作品で初めて知ったが、見終わった後、彼が十年来の友人のように思えてきた。。。

オススメ度 ★★★

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