こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

サイレントヒル:リベレーション3D

otello2013-04-23

サイレントヒル:リベレーション3D Silent Hill: Revelation 3D

監督 マイケル・J・バセット
出演 アデレイド・クレメンス/ショーン・ビーン/キャリー=アン・モス
ナンバー 71
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

黒衣黒覆面の男、顔には縦に裂けた口だけの男、大ナタ振り回す三角鉄仮面、そして人面蜘蛛。シャープな音響とともに登場するクリーチャーたちはヒロインの心に巣食う恐怖を具現化したものなのか。現実と幻覚の境界が曖昧になり日常と非日常が混在する、一つ間違えば人格障害とも思えるほど限界まで張りつめた彼女の精神状態を象徴する。物語は廃墟の町に呼び出された少女が囚われの身の父を救出する過程で、彼女自身のアイデンティティを追い求める姿を描く。それは、最新鋭のお化け屋敷に一人で迷い込んだごとき、胃袋をわしづかみされる不快感に満ちている。

ヘザーと名を変え父と逃亡生活を続けているシャロンは、転校先でヴィンセントと知り合う。帰宅すると“サイレント・ヒルへ来い”というメッセージが残され、父が消えていた。シャロンはヴィンセントと2人でサイレント・ヒルに向かう。

そこはかつて、ある教団によって魔女狩りが行われたが、火あぶりにされた少女・アレッサが逆に町全体を焼き払ったといわれるいわくつきの土地。すべての住人が呪われていて街や建物もおどろおどろしく形を変える。その上、教団側とアレッサは敵対関係のまま。シャロンの敵は父を拉致した教団だが、アレッサもまた対峙し乗り越えなければならない存在。そんなシャロンの過酷な運命は彼女にとっての自分探しの冒険でもある。だが、映画はそういった“驚愕の真実”の発見よりも、見る者の胸の奥に爪を立てるような演出に徹し、シャロンの感覚と感情を追体験させる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてシャロンは黒覆面の男たちに夜の遊園地に追い込まれる。それは何度も夢に見た彼女が死ぬ光景、闘う決意をしたシャロンは夢とは違う結末を模索する。もっともこの作品が目指したのはシャロンの成長ではなく、ユニークな動きをする様々なクリーチャーを具体化することにある。彼らの武器や飛散物を3D化して、「奥行きもあるが飛び出し感もある映像」が狙いなのだ。夜や室内といった暗いシーンが多い割にはクリアに再現できていた。

オススメ度 ★★*

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