こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アイアンマン3

otello2013-04-27

アイアンマン3 IRON MAN 3

監督 シェーン・ブラック
出演 ロバート・ダウニー・Jr/グウィネス・パルトロー/ドン・チードル/ガイ・ピアース/レベッカ・ホール/ベン・キングズレー
ナンバー 100
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自分を無敵の天才と信じていたのに、もっとすごい敵がいた。なんとか倒したけれど、見下していた男に助けられた。そしてトラウマは夢となって苦しめる。だから寝ないで新兵器の開発に熱中する。映画は前回の戦いで深く傷ついた主人公が、一からやり直すうちに成熟していく姿を描く。人間を兵器化するのにより重要視すべきは機能か精神か、かつては精神力な弱さを軽蔑していた彼が、自身の苦悩に苛まれそれを克服してより感情的な幅を身に付けていく過程は、挫折が人を鍛えると教えてくれる。

新型爆弾テロでボディガードが被害に遭ったトニーはテロリストに宣戦布告するが、逆に自宅を襲われ命からがら脱出する。逃げ込んだ山小屋で再起を図るが、そこにもDNAレベルで強化された不死身の刺客が送られてくる。彼らは科学者のキリアンに操られていた。

手、腕、肩、足、胴、頭、顔。各パーツごとに別れた新型アイアンマンスーツでさらにパワーアップしたはずが、テロリストの先制攻撃であっさり敗北してしまうトニー。一方のキリアンは大脳の未開発野への刺激とバイオテクノロジーを融合させて肉体を増強させている。技術的な進歩か、生物的な進化か。本当の強さとはそのどちらでもない、守るべきもののためにどこまで己を犠牲にする覚悟があるか問われていると、トニーは気付いていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

結局、トニーはアイアンマンになることでしか自信を取り戻せないのだが、キリアンとの一騎打ちではたびたびスーツを脱ぐ。もちろん防御的な意味合いはあるが、スーツはあくまで道具であって己の分身ではないと理解するのだ。メンタル面を批判的に見ていたハルクに内心を吐露するシーンに、悩みは打ち明けた瞬間にほとんど解決するという言葉を思い出した。またイスラム系テロリストを演じたベン・キングスレーが圧倒的な存在感を示し、矮小な正体を含めてこの作品により重層的な奥行きとユーモアを与えていた。

オススメ度 ★★★

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