こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・タワー 超高層ビル大火災

otello2013-07-29

ザ・タワー 超高層ビル大火災

監督 キム・ジフン
出演 ソル・ギョング/ソン・イェジン/キム・サンギョン/キム・イングォン/アン・ソンギ/チャ・インピョ
ナンバー 125
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

熱で膨張した鉄骨がひしゃげ、その影響で壁が崩れ床が抜けガラスが飛散する。天井から落ちてくるコンクリート片、迫りくる火と煙、運よく生き残っても逃げ場はない。超高層ビルの中層階、映画はそこに取り残された人々と救出に向かった消防士たちの壮絶な脱出劇を追う。進路も退路も断たれ頼りは運任せのアイデアのみ、命の危機にさらされる過程で彼らは人としての価値を試されていく。自分だけは助かりたい者、幼い娘を捜す者、息子のために生きなければならない者、使命感に突き動かされる者。それぞれの立場で描かれる様々な愛の形が灼熱の火炎の前に浮き彫りにされていく。

漢江沿いに聳え立つ108階建てのツインタワーにヘリコプターが激突、火災が発生するが、スプリンクラーは作動しない。セキュリティ担当のデホはレストラン街に孤立した娘と好意を寄せるユニを救助するために、カン消防士らと現場に向かう。

遠景では天を目指す水晶の塔、近寄ると空を覆うほど威容、きらきらと反射しつつもビルの内部が半ば透けて見える2棟の高層ビルはまるで光り輝くアート作品。そして生き物のごとく天井を這い壁を走る業火は人間の強欲を焼きつくすかのよう。それらメインのビジュアルは精緻なCGで再現され圧倒的なリアリティを持つ。そんな、ハリウッドを凌駕する韓国クリエイターの英知が結集された映像は最後まで炎の恐ろしさを見る者に知らしめる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてビルが傾き始め、将棋倒しを防ぐために爆破する決定が下される。タイムリミットまでに脱出しなければみな瓦礫の下敷き、カンは生存者を逃がす決死の作戦を決行する。911を思い出させるビルの大崩壊は高慢な人間に対する神の鉄槌に見えた。ただ、音がスクリーン方向からしか聞こえず危機的シーンでも臨場感が希薄。試写室の設備の問題かもしれないが、この手の災害映画ならばもっと前後左右上下と立体的なサウンドデザインをすべきだろう。。。

オススメ度 ★★*

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