こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

TRASHED ゴミ地球の代償

otello2013-09-13

TRASHED ゴミ地球の代償

監督 キャンディダ・ブラディ
出演 ジェレミー・アイアンズ
ナンバー 220
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

放置する、埋め立てる、焼却する。大量消費・使い捨ての時代、人間の日常生活から排出されるゴミは膨大な量となり、もはや適切に処理できなくなってきている。そこで問題視されるのはペットボトルやレジ袋といった自然分解されないプラスティック製のゴミ。それらはいつしか海に流出し、微生物が体内に取り込み、さらに食物連鎖を経て上位捕食動物に蓄積されていく。映画はジェレミー・アイアンズをガイドに世界のゴミ事情をレポートする。うず高くゴミが積み上げられた海岸、生活用水源となる川にゴミを投棄するジャカルタのスラム街、そして漂流したゴミが集積して“大陸”状になった太平洋。衝撃的な映像の数々は、ライフスタイルを改めなければ近い将来地球にぬぐい難い禍根を残すと警鐘を鳴らす。

環境に関心が深いジェレミー・アイアンズは、レバノンの古都・サイドン近郊でトラックに満載された未処理のゴミが捨てられていく光景を見て驚く。英国では住宅地のすぐそばに大きな穴を掘り、ゴミを埋めている。

19世紀末以降、ゴミが急速に有毒化したのがいちばんの懸念材料とジェレミーは訴える。特に焼却したときに発生するダイオキシンが人体にもたらす影響は深刻。ベトナム戦争時にダイオキシン汚染された奇形児や胎児の標本は思わず目を背けたくなる。この場合は枯葉剤が直接の原因でゴミとは関係がないが、ダイオキシンが猛毒であると示すインパクトは絶大。圧倒的にゴミを焼却場で処分するケースが多い日本においては他人事とは思えない恐怖だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

当然ではあるが、最善の解決策はゴミを出さないこと。オーガニックを売りにする食料品・雑貨店では客にエコバッグを持参させ、無駄な包装は避けている。スーパーに対抗してビジネスとして軌道に乗せるにはやはりコストがネックになっているが、子孫のために未来を買うという気持ちでこうした商店で買い物をする。それが普通の市民に今すぐできるエコロジー活動なのだ。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓