こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ダイアナ

otello2013-09-18

ダイアナ DIANA

監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
出演 ナオミ・ワッツ/ナビーン・アンドリュース/ダグラス・ホッジ/ジェラルディン・ジェームズ/チャールズ・エドワーズ
ナンバー 216
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

警備員や執事といった人々に四六時中守られ、身の回りの世話を任せているけれど、胸の内を打ち明けられるのはエステティシャンだけ。広々とした宮殿、キッチンでひとりトーストを食べ、無機質なベッドで眠る。かつて世界中の注目と祝福を浴びた元皇太子妃の眼前にあるのは、抱えきれないほどの孤独。そんな彼女が、初めて自分を特別な目で見ない男と出会い、恋に落ちる。物語は若くして交通事故死したダイアナ元妃の最期の2年間を描く。慈愛あふれるプリンセスの顔で海外を飛び回りつつも、女としての幸せを追いかけて己に正直に生きようとする。一見愚かにも見える、葛藤する姿が人間的で親近感を覚える。

皇太子と離婚したダイアナは人生にうんざりした日々を送っていた。ある日、父危篤の知らせが入り病院に駆けつける。主治医・ハスナットの飾らない人柄にときめきを感じたダイアナは、彼を宮殿に招待し親交を深めていく。

離婚後もそれなりの身分は保障されているが、世間からみるとゴシップの対象。だがハスナットと一緒にいたい気持ちを抑えきれない。クルマのトランクに身をひそめたり、駐車場でクルマを乗り換えたり、黒髪のウィッグで変装したりと、涙ぐましい努力をして束の間の逢瀬を楽しむふたり。皇太子との交際はもっと堅苦しく気詰まりだったはず、ハスナットとの甘いひとときに身も心も溺れていくダイアナは普通の恋する女と変わらない。一方で地雷除去活動では並々ならぬ決意を全世界に示す。その私生活と公務のギャップが、彼女が人々に愛された理由だろう。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

パキスタン人のイスラム教徒であるハスナットは結婚に二の足を踏むが、ダイアナは暴走気味に結婚を進めようとする。仲がこじれるとドディとのツーショットをパパラッチに撮らせ、これ見よがしにハスナットに見せつける。もはやこの恋に明日がないのは分かっていても、ハスナットからの電話を待ち続けるダイアナの表情が切なく哀しい。それでも彼女が愛された時間は満ち足りてていた、そう思わせる作品だった。ただ、上目遣いの表情以外、ナオミ・ワッツはあまり本人に似ていない気がするが。。。

オススメ度 ★★*

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