こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ウォールフラワー

otello2013-10-12

ウォールフラワー The Perks of Being a Wallflower

監督 スティーブン・チョボウスキー
出演 ローガン・ラーマン/エマ・ワトソン/エズラ・ミラー/メイ・ホイットマン/ケイト・ウォルシュ
ナンバー 243
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

初めて門をくぐる建物、数人の顔見知りとほとんどの見知らぬ人々、高校生活初日は、新しい環境になじめるか不安と期待に胸をいっぱいにして学校に飛び込んでいくはず。ところが、自信を持てない少年は友人ができないと諦め、教室でもカフェテリアでもひとりで過ごす。別に孤高を気取っているわけでもない、ただ他人に声をかけられないだけ、つい人見知りしてしまう主人公の胸の内がリアルだ。物語は作家志望のイケていない高校生が、ふとしたきっかけで己の居場所を見つけ、人生を切り開いていく術を身に着ける過程を描く。微妙な人間関係のなかで繊細な感情が磨かれていく多感な映像に、つい共感してしまった。

高校1年生のチャーリーは、フットボール観戦で工作クラスの上級生・パトリックに声をかける。気さくに応じてくれたパトリックは義妹のサムを紹介し、3人は意気投合、パトリックのグループに入ったチャーリーの高校生活は輝き始める

パーティ、クルマ、初恋。いろんなことを経験するうちにチャーリーも明るくなり、ダサすぎて他人には言えなかった小説に対する関心も理解ある教師のおかげで胸を張れるようになる。自分を縛っているのは自分、少しの勇気と行動力で現状は変えられるとチャーリーはパトリックたちから学んでいくのだ。走行中のトラックの荷台に立ち風を全身に受ける、その全能感に酔いしれるシーンに青春のきらめきが凝縮されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

サムに思いを寄せるチャーリーだが、彼女には大学生のボーイフレンドがいる。なかなか本心を打ち明けられずにいると、好きでもないメアリーと付き合う羽目になる。また、パトリックはゲイ恋人との仲がこじれたりする。そのあたり、男女入り混じったグループ交際で恋愛と友情の境界線が見えなくなるのもお約束。日本人では、最上級生のグループに1年生がひとり混じるなどというのは部員不足の部活動でもない限り考えられず、学年を気にせずつきあう米国人のおおらかさが羨ましくなった。

オススメ度 ★★★

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