こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハンガー・ゲーム2

otello2013-11-28

ハンガー・ゲーム2 The Hunger Games: Catching Fire

監督 フランシス・ローレンス
出演 ジェニファー・ローレンス/ジョシュ・ハッチャーソン/リアム・ヘムズワース/ウッディ・ハレルソン/エリザベス・バンクス
ナンバー 285
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

奇抜なアイデアと卓越した身体能力、的確な判断と機転で主催者にルール変更させたうえ勝者となったヒロイン。何より彼女は“愛の力”を証明したことで抑圧された民衆の心に灯を点した。今や革命の気運がくすぶり始め、独裁国家の全土に広がりつつある。そんな彼女を抹殺するために新たに死のゲームが仕組まれる。物語は前作から1年後、今回は過去の優勝者ばかりを集めた強者ぞろいのチャンピオン大会、信頼できる同盟を結べるか、敵対する者は誰かを見抜く眼力がさらに強く要求される。生存本能が激突し、陰謀が渦巻く闘技場、そこを操る新任のゲームメーカーを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンのねちっこい嫌らしさが強烈なインパクトを残す。

ハンガー・ゲームで優勝したカットニスは、国民の支持に応えるために相棒のピータと“恋人”の演技を余儀なくされている。彼女の絶大な人気を危惧するスノー大統領は、25年ごとの「記念大会」にカットニスとピータをエントリーさせる。

支配階級と被支配階級の格差は開いたまま、むしろ強権政治を強めている。管理当局は貧しい暮らしを強いられる人々を厳しく取り締まり、反抗の兆しを見せただけで鞭打ち処刑する。このあたり、「解雇特区」や「秘密保護法案」が暴走した未来の日本を暗示するようで、奇妙なリアリティを覚える。ゲームのルールに反対の意思を示したカットニスはいつしか地下に潜った反政府運動の光となり、勝ち抜くのが運命であると自覚はしている。そして仲間と共に戦い、より過酷なサバイバルを切り抜け、様々な人の犠牲の上に現在の自分がいると知り、“ジャンヌ・ダルク”の使命に目覚めていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

最終的に殺し合わなければならない他の参加者との共闘、一方でジャングルを模した闘技場のトラップはいっそう巧妙で危険になっている。カットニスは天に向かって帯電した矢を放ち「人工の自然」という偽りを打ち破る。それは希望が確信に変わる瞬間、意外な人物の意外な行動に、次回作への期待が高まった。。。

オススメ度 ★★★

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