こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

愛しのフリーダ

otello2013-12-16

愛しのフリーダ GOOD OL' FREDA

監督 ライアン・ホワイト
出演 フリーダ・ケリー
ナンバー 298
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自宅に届いた数袋のファンレターの山を処理し、サイン入りの返事を送る。時にメンバーのよき話し相手になりながら、彼らの活躍を見守る。映画はマイナー時代から熱狂的なファンとなり、解散までの10年余りの時間をビートルズに捧げた女性の半生を追う。地下のライブハウスの常連客からマネジメント会社の秘書に抜擢された彼女は、知られざるビートルズの顔を見た数少ない存在。そんな彼女が語る、メジャーデビュー以前の他愛のないエピソードの数々が4人の素顔を際立たせ、人柄を浮き彫りにする。現在ではすっかりクラシカルなイメージが定着したビートルズも1960年代初頭は“反抗的”と思われていた事実に、歴史に名を刻むには価値観を反転させる斬新さが必要であることを思い出させる。

タイピストとして就職したフリーダはランチタイムに訪れた小さなライブハウスのステージに夢中になり、ほどなく追っかけとなり楽屋への出入りが許される。やがてビートルズが人気者になるとファンクラブの事務を引き継ぐようになる。

当時17歳だったフリーダはタイプ以外の特技はなかったはず。だが生真面目な性格がマネージャーの目に留まり仕事仲間と認められていく。一方でビートルズの服装に不快感を覚えたフリーダの父は彼女がビートルズの事務所で働くのを許可しないが、彼女の情熱はその程度では冷めない。日に日に数を増すファンレターと格闘しながらもフリーダはビートルズのためにすべてを犠牲にするほど働き、信頼を得ていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

フリーダは決してビートルズの評判に傷つけるような言葉は口にしない。彼らに誓った忠誠を半世紀を経てもいまだ守り通し、楽しかった記憶だけを顧みる。また、彼女は事務所がロンドン移転後もリヴァプールに残り、その後のビートルズとはやや疎遠になっているので、解散の詳しいいきさつまではわからないのだろう。結局、カメラはフリーダから“衝撃の新証言”を引き出せない。それは今も褪せない、“自分こそがNo1のファン”という彼女の矜持、ビートルズと共有した秘密は墓場まで持っていくつもりなのだ。。。

オススメ度 ★★

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