こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブラインド・フィアー

otello2013-12-18

ブラインド・フィアー Penthouse North

監督 ジョセフ・ルーベン
出演 ミシェル・モナハン/マイケル・キートン/バリー・スローン
ナンバー 240
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

すぐそばで恋人が殺されているのに気が付かない。でも部屋の空気がいつもと違うのは感じている。頭の片隅を不安がよぎり、幸せな日常が崩壊していく予感に心がざわめく。そして死体からしみだした血だまりで足を滑らせ何が起きたのかを知る。そんな事態に直面するヒロインの反応が非常にリアルで、視覚障碍者の恐怖が手に取るように伝わってくる。物語は、盲目の元女性写真家と、彼女の部屋に隠されたあるものを狙う2人の男との心理戦を描く。脅え、傷つき、逃げ場を失った彼女が、男たちの弱点を見つけ、反撃に転じる過程はスリリングかつミステリアス、暴力に対して言葉の毒も武器にする戦い方がスマートだ。

アフガンで自爆テロに遭い失明したサラは、リッチな恋人・ライアンと高級アパートで暮らしている。ある日、買い物から帰るとライアンは喉を切り裂かれ、見知らぬ男が部屋で待ち伏せていた。

サラは拘束を解き、一度は助けを呼ぶために部屋から脱出するが、別の男にとらえられ再び監禁される。この、若くて粗暴なチャドと老獪なロバートの2人組はライアンに盗まれたものを取り返しに来たのだが、サラはそれが何か聞いておらず当然秘匿場所の見当がつかない。それでも命がけの戦場を経験してきたサラは硬直した状況で冷静さを失わずロバートの苛立ちを察知する。もはや絶望に打ちひしがれたか弱い女ではなく、圧倒的に不利な立場でも駆け引きと戦略に活路を見出そうとするしたたかさを取り戻している。修羅場をくぐり抜けた人間の、芯の強さが際立っていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてロバートとチャドの力関係を見抜いたサラは、チャドをそそのかし仲間割れを誘おうとする。狡猾なロバートに追いめられたサラが、ハンディをものともせずピンチを切り抜ける姿がすがすがしかった。ただ、見えないことを逆に利点に変えるアイデアに乏しく、もう一ひねりしてほしかったが。。。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓