こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ウルフ・オブ・ウォールストリート

otello2014-02-05

ウルフ・オブ・ウォールストリート THE WOLF OF WALL STREET

監督 マーティン・スコセッシ
出演 レオナルド・ディカプリオ/ジョナ・ヒル/マシュー・マコノヒー/マーゴット・ロビー/ジャン・デュジャルダン/ロブ・ライナー/ジョン・ファヴロー/カイル・チャンドラー
ナンバー 28
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

始業と共に電話をかけまくり、一度くらいついたら相手が買うまで受話器を置かない。客が利益を得ればさらに別銘柄を勧め、損を出しても舌先三寸で言いくるめる。株取引で楽してリッチになろうなどと思うやつらはクズ、彼らからは搾り取れるだけ搾り取ってもまったく良心は痛まない。一方、濡れ手に粟で儲かるが、ライバルは多く油断するとすぐに蹴落とされる。物語はそんな業界に飛び込んだ一人の若者の栄華と転落を描く。ウォール街で学んだセールストークと場末の仲買オフィスのシステムを巧みに組み合わせ、短期間に莫大な財産を築き上げた彼の虚飾に満ちた人生は、酒とドラッグとセックスとパーティに彩られていく。主人公に狂乱の世界の掟を教える上司役のマシュー・マコノヒーが、チョイ役ながら圧倒的な存在感を見せる。

証券会社に職を得たジョーダンは下働きから始めディーラー免許を取得するが、会社は倒産、小さなオフィスに再就職する。少額株の売買で法外な手数料を請求するその会社でたちまち頭角を現したジョーダンは、ノウハウを学んで自分の会社を設立する。

ジョーダンが作った勧誘マニュアルを社員に実践させると、面白いように利益が上がる。あっという間に会社の規模は大きくなり、彼はマスコミをにぎわす風雲児となる。予想もしない大金を手にしたジョーダンと社員たちは、昼間からオフィスで乱交に溺れ、ドラッグをキメ、お祭り騒ぎを繰り返す。映画は、彼らの乱痴気に延々と付き合い、ジョーダンたちが稼いだ桁外れの札束と美女と贅沢を通り越した破天荒な日常をカメラに収める。それは彼らが常に一つ間違えればどん底に急降下しかねないストレスと日々戦っている証拠、セックスやドラッグで脳内快楽ホルモンを過剰に分泌させていなければ精神の均衡を保てない危うさの裏返しなのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ジョーダンをあそこまでカネに執着するモンスターにしたのはなんだったのだろうか。せめてギャツビーのような蹉跌があれば少しは共感できたのだが。。。

オススメ度 ★★*

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