こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI

otello2014-02-19

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI

監督 三池崇史
出演 生田斗真/堤真一/仲里依紗/山田孝之/上地雄輔/岡村隆史
ナンバー 37
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

疾走するクルマのボンネットに裸で縛り付けられ、そのまま洗車機にかけられる。スリルと笑いと痛みを伴うプロローグは荒唐無稽な世界観に見る者を一気に引き込んでいく。その後も個性的でぶっ飛んだキャラクターに囲まれて、もともと警官の枠からはみ出た主人公が予想もしない行動で次々と難題をクリアしていく姿は、パワフルかつエネルギッシュ。だが過剰なリアクションの数々はコミカルより悪ふざけ、むしろ悪趣味にさえ映る。それが原作マンガの持ち味であり見どころなのかも知れないが、実写化された映像で見るのはかなり忍耐が必要だった。

正義感が強すぎて警察官の職分を逸脱しがちな玲二は、関東一円を仕切るヤクザ組織への潜入捜査を命じられる。手始めにカジノで暴れ、そこを経営する日浦と兄弟分の契りを交わし、関西ヤクザが放った殺し屋たちとの抗争に明け暮れる。

巨大ヤクザ組織の内部でも様々な派閥があり、それぞれにシノギを削っている。一方で外敵の脅威には弱腰を見せられず虚勢を張らなければならない。そして当然警察への警戒も怠らない。そんな知能派武闘派そろったヤクザ達の中で孤軍奮闘する玲二は、正体がばれたら待つのは死という状態で次々と情報を仕入れ上司に流していく。その過程で玲二は任務へのプレッシャーや緊張・孤独と戦うことなく、日浦との友情を育み本物の義兄弟になっていく。覚せい剤に手を出せば“極道が外道になる”古いタイプのヤクザの生き方に共感し、本来の自分を取り戻したかのごとく生き生きしているのだ。さらに関西ヤクザの猫沢との対決など原作マンガでは見せ場なのだろう、ところが実写にすると設定の嘘くささが目立ってしまう。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

親分と杯を交わし正式にヤクザの構成員になった玲二は、ロシアから覚せい剤の密輸を目論む月原をマーク、取引現場を抑えようとする。そのあたりも物語のクライマックスにしてはアイデアや迫力に欠け、俳優たちの熱演が空回りするばかり。最後までこの映画のノリには馴染めなかった。。。 

オススメ度 ★*

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